コラム

第126話 幸運なシンデレラボーイひかる不運との闘い① 保護すべきか否か

このコラムは、里親として龍馬と凛子を迎えたものの(第1話第2話第3話)、その後に龍馬を脱走させてしまい、地獄の捜索体験(第5話から第22話)をした際に、野良猫の不妊去勢手術にかかわったことや、可哀想な猫を沢山見てしまったことがきっかけで始めた猫救済ボランティアの体験記である。その体験を多くの人に知ってもらうことで、不幸な猫を1匹でも多く減らすことにつながればと願っている。これまでの記録はこちら→(第23話から第125話)。

時は2016年6月。この時は自分の体に猫磁石がついているのではないかと思うほどに、ほっておけない猫に出会ってしまっていた。そのうちの1頭は、その数カ月前から猫道という猫のたまり場で、胸に大きなしこりを抱えてうずくまっていた珠子(第110話から第114話)。病気の子など自分の手に負えるとは思えなかったが、放置したら炎天下で干からびて死んでしまうと思い、保護し入院させた。

そして時を同じくして、別の餌場であるパンジー公園でジュノンを保護し、里親募集をすることにしていた(第116話から第121話)。2匹とも病院に預かってもらっていたが、本格的な保護活動をするゆとりもないし、そのつもりもなかった私には、なりゆきで保護した2匹だけでもかなりの負担だった。

そこにひかるは現れたのだ。パッと見て普通のキジトラ、3歳くらい。子猫でもないし、ジュノンのような長毛美猫でもない。普通の大人猫だ。バンダナの首輪をしており、耳カットしてあった。首輪があったので飼い猫かと思ったが、餌やりのイチゴさんの話によると、その子は別の場所で別の餌やりさんに餌をもらっている猫だと。その餌やりさんが誰かに連れて行かれないようにバンダナの首輪をしたらしかった。
そして耳カットがあったということは、避妊去勢手術をしてある印だ。誰がしたのか知らないが、保護してやれないので、去勢手術をして外に放したのだろう。ボランティアも殆どの人が、既に沢山の猫を保護しているので、このように大きくなった猫は保護しないで避妊去勢手術して外に戻しているようだ。

しかしその子は人馴れしていたことが私には気になって仕方がなかった。その猫は、よく猫と遊びにくるお兄さんのSさんに懐いてスリスリしていたし、余りよく知らない私でも近寄って頭をなでることができる子だった。
こーゆーのが一番困るのだ。人馴れしている猫は里親さんが見つかれば家猫として安全で幸せな生涯を送ることができる。保護しないで外に放せば、過酷な日々が待っている。人馴れしていれば悪い人間に虐待されることもある。それを思うと外に放置できず、私はそれまで避妊去勢手術のために捕獲した猫が人馴れしていたら、どんなに大人になっていたとしても外に戻したことは無かった。
幸太、大輔、くるみ(第28話から第31話)に、ハナコ(第51話から第56話)、ゆきちゃん、はっちゃん(第96話から第99話)、しまじろう(第106話から第第108話)、みんなそれぞれにふさわしい家族を見つけ、幸せになった。しかし、それぞれに大変な苦労の連続だった。もう確実に苦労なく里親募集ができそうな子しか保護したくないと思っていた。

腫瘍をかかえて苦しんでいる珠子は里親募集は無理でも放置できなかったので保護せざるを得なかった。そしてジュノンは、見るからにジャニーズ系の美猫、長毛で人気の茶虎、しかもまだ子猫のようだったので、間違いなくすぐに里親さんが見つかるだろうと思い保護した。
しかし、ひかるはどうするべきか悩みに悩んだ。    【写真:ひかる】
127hikaru私はそれまではいつも一度に対応する保護猫は1匹か一組だけだった。それ以上に気持しを分散させることができそうになかったのだ。それがその猫を保護してしまえば、私の保護猫が一気に3匹になる。多忙な日々を送る私にエネルギーは余っていない。家にいる5匹に加え、保護猫をさらに3匹も抱えられる気がしなかった。暫く悩んだものの、ええい、どうせ、ジュノンを里親会に連れて行くのなら、1匹も2匹もかわらない。ひかるも一緒に連れて行ってやりたい、と思い、珠子を保護して4日後、ジュノンを保護してから2日後、やはりひかるも保護することにした。人馴れしているからだけでなく、餌やりのイチゴさんが、ひかるの首の周りが剥げているというのだ。バンダナが擦れてかぶれたか、真菌か何かに感染したか、診察もさせてやりたかった。

ジュノンや珠子を預かってくださっているいつもの獣医さんに、もう1匹お願いしたい旨相談したところ、有難いことに先生からは預かりOKが出たので、急いで保護し、ひかると名付けた。

珠子、ジュノンに次いで、ひかるを病院に預け、やっと私は放置していた田舎の母の様子を見に、実家に帰った。
4~5日が経過、病院の先生から連絡があり、ひかるが警戒心マックスで、ご飯も食べず、触ろうとすると威嚇がすごく、先生は手をひっかかれ、里親探しなど無理ではないかとのことだった。

びっくりだった。いつもは私の方が人馴れできるか不安でも、先生は馴らせば馴れると前向きな助言が多いのに、無理ではないかと言われたのは初めてだった。
え?まさか!外にいる時から問題なく触らせてくれたあのひかるが?半信半疑ですぐにでも確認に行きたかったが、私はまだ東京を離れ実家にいた。
のんびりしていられないのは、本当に里親探しが無理ならば保護できない。外に戻すしかなくなる。しかし、余り長く屋内で過ごした猫を外に戻すのは却って残酷なのだ。餌場も他の猫に奪われ、元の場所に戻れない場合もある。保護したあとで外に戻すならば、1週間から10日以内にしないといけない。
しかし、一度捕まえて室内に入れた猫をまた外に戻すのも辛い。一度外に放したらもうニ度と捕まらないだろう。

心配だった私は、餌やりのイチゴさんと、ひかるが大好きだったSさんに病院に様子見に行ってくれるように頼んだ。するとイチゴさんは、ひかるが全然反応しない、目付きがするどくなっていたと。
そんなぁ…。東京から遠く離れた広島で、どうしたらよいか途方にくれた。
続く。

コラムニスト:Candy (キャンディ)
ネコジルシ:保護猫日記
猫の里親募集:
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