コラム

第124話 エイズ白血病の検査について その3 色々な考え方

猫救済のボランティアとして活動するようになってから早5年。最初は、里親として龍馬と凜子を迎えたものの(第1話第2話第3話)、その一年半後に自分の不注意で龍馬を脱走させてしまい(第5話から第22話)その捜索中に沢山の野良猫に出会い、悲惨な現実を知ってしまったことがきっかけであったが、自分が現場で活動するだけでなく、私の体験から学んだことを広く知ってもらい、1匹でも多くの不幸な猫が救われるように、一人でも多くの人に共感、協力してもらいたいという願いからこのコラムを綴っている(第23話から第123話)。

第122話第123話で、エイズや白血病には潜伏期間があり、その潜伏期間内の検査であれば陽性であっても陰性と出てしまうことがあるということを、ひかるという猫の実例を使って紹介した。 
その一件以来、私が野良猫を保護する際には、保護して1カ月間はほかの猫とは隔離する。里親募集をすぐに開始したい場合はすぐに検査するが、1カ月経過したら必ず2回目の検査をしている。
1カ月経過する前に里親希望者がいたら、潜伏期間後に再検査の必要があることを告げる。 
里親さんが1カ月以内に決まらない場合は、こちらで再検査し、里親さんに2回検査したこと、その意味を伝える。先住猫がいる場合には、先住猫にも潜伏期間以降の検査で陰性であることを確認してもらう。次の猫を迎える場合にも、潜伏期間を終えてからの検査で陰性であることを確認してから迎えるようにしてもらう、と言う方針に決定した。

確率の低い話なのに面倒なようではあるが、万が一、陽性であるのを気付かずに、他の猫にも感染させたら大変なことになる。エイズは感染しても発症せずに寿命を迎えられることも多いが、白血病は怖い。私は、自分の無知からひかるの里親さんにあのように悲しい思いをさせたことを深く反省しており、その思いを無にしては申し訳ないと言う思いから、潜伏期間過ぎたあとの検査を徹底することにしている。その思いはこれまで話を進めてきた里親希望者さん全員に理解されたので、さらにこの話を広めていきたいと思う。

しかし、これは私の考え方であり、他の譲渡主はまた違った考え方をすると思う。 
それをいくつか紹介しておきたい。

まず子猫の話から。第123話でも書いたが、子猫の場合はその理屈通りにはいかない。乳飲み子の場合は、親の免疫が働くし単独で行動しないので、外の他の猫から感染はしにくいであろうが、それでも陽性になるのは、感染している親からの感染だ。子供が本当に感染しているのか、ただ、感染した母親の抗体が子供に移行してしまったのかの判別が難しい。子供は本来陰性なのに、簡易検査の場合はその抗体を検知して陽性と判断してしまうのだ。子猫の検査をした結果、陰性だったら何も問題ない。しかし、陽性だった場合、結果はどちらなのかわから厄介だ。(正確な判断をするには遺伝子検査を行えばできるが、費用も時間もかかる)

その移行抗体がいつまで続くのかは、色々説はあるが、生後半年という判断をする人が多い。しかし、生後4~5カ月で移行抗体は消えていると言う獣医師もいる。では、生後4カ月以下の子猫を保護したらどうするかだ。1~2カ月の可愛い盛りに里親募集をしないで、生後4~5カ月まで待ち、検査してから募集するのか?いや、それはできない。子猫シーズンにはどんどん保護されてくる。保護場所もないし、生後3カ月すぎただけでがくんと希望者が減るので、早めに譲渡を進めなくては、自分の家がパンクしてしまう。

では皆どうしているのか。子猫のうちは検査しないで募集するという人も多い。これは、白血病であってもエイズであっても、他の病気やケガと同列にとらえ、何があっても終生飼育という基本的義務の一部と考えてもらうという考え方であろう。里親募集の際、健康状態良好と言っても、すべての病気の可能性を検査しているわけではない。一定の検査とわかっているだけの病気の治療をするが、それ以外に何があるかはわからない。それでも受け入れて最期まで面倒みると約束出来る人に譲渡するという考えだ。私の考えとは異なるが、参考までに、子猫を良く保護するという何人かの譲渡主の考えもご紹介しよう。

その1 Aさんの場合

検査をしないで説明した上で譲渡する
里親さんには、小さいうちに検査をしても正確に結果がでないから検査しない、ということをきちんと伝え、万が一陽性であっても、必ず最期まで飼育すると約束してもらうのだそうだ。ただしその際、里親さんがエイズ、白血病に陽性ということはどういうことなのか、感染しても発症していなければ普通に生活できること、しかし発症したらどのようなことになるのか、充分に説明が必要だと思う。 
このような譲渡主から猫を迎える場合は、納得するまでよく話を聞いてほしいと思う。また譲渡する側も、希望者が大丈夫だといっても、本当に万一の場合でもケアできる時間、お金、能力があるのかどうか譲渡主が見極めて決定しなければならないと思う。

その2 Bさんの場合

親猫の検査をする
子猫が外で母猫と一緒にいる場合、基本的には母猫は捕まえて手術して元の場所に戻す。大人猫はもはや人馴れできないし、里親も見つかりにくいし、餌をもらえる場所があるならば、何とか外で生き抜いてもらうしかない。その親猫の避妊去勢手術をする際にエイズ白血病検査をし、親猫が陰性なら子猫も陰性だろうと推測、親が陽性なら里親さんに事情を話し、後日検査のお願いをした上で譲渡するとのことだった。移行抗体についてはこの人は知らなかった。
この考え方については、私は若干不安に思う。親猫の検査はある程度の指標にはなるが、母親が陰性なら子猫も必ず陰性だと言えるだろうか。子猫の月齢にもよるが、一人で行動し始めていると、子供単独で感染することもあるのではなかろうかと思う。ただし、エイズの場合は、激しい喧嘩か交尾でないと感染しないので、子猫が単独で感染することは考えにくい。特に激しい喧嘩などしたら子猫はまずもって死んでしまうだろうから、子猫が単独でエイズに感染する可能性は低いだろう。が、白血病は唾液でも感染するので、子猫が単独で行動し他の猫から感染することはありえると私は思う。子猫の検査結果については里親さんも知識を付け、譲渡主にきちんと確認をすべきだと思う。

その3 Cさんの場合

難しいことは里親さんには言わず、生後6カ月で検査してもらい、最悪自分が引き受けると覚悟する
これを聞いた時は画期的で驚いた(笑)Cさんは、Bさんと同じように母猫の検査をするが、母猫が陽性であっても子猫の検査を生後6カ月で行ったところ、これまではすべての子猫が陰性になっていたというのだ。これは喜ばしいデータだ。実際問題、子猫が単独で感染することは少ないということなのか。Cさんは里親さんの中には移行抗体の話など難しく理解できない人も多いので、問題ないのに不安をあおるようなことは言わないのだそうだ。里親さんには未検査であると伝え、生後6カ月になったら不妊去勢手術と共に、エイズ白血病検査をしてもらうのだと。それで陽性だったことはこれまで一度もないのだそうだ。万一陽性となり、里親さんが対応できないような人だったらどうするのかと聞いてみたが、Cさんは自分が引き取る覚悟だと。それを聞いた時にびっくりしたが、確かにいくら飼育義務と言っても、どうしても飼えなくなった人に無理に飼ってもらうのは猫が不幸である。だから返ってくる時は返ってくるのだと覚悟をして譲渡するという人もいる。私も終生飼育義務を確認して譲渡をしているが、万が一どうしても飼えなくなったという人にそれ以上託すのも心配である。一旦所有権を返してもらい、再度里親探しを私がすることにしている。それと同じことなのかもしれない。

その4 私の場合

上記に書いたように、子猫でも大人同様、潜伏期間経過後に再検査する。それは私は比較的保護猫が少ないからできることなのだと思うが。ではそこで本当に陽性だったらどうするのかだが、陽性だということを公表した上で、それでも引き取ろうという奇特な里親さんを探すしかないと思う。エイズなら発症しないことも多いのでまだ希望は持てるが、白血病陽性の子を迎えてくれる人がいることは奇跡に近い。最悪誰もいなければ私が自分で引き取るしかないということになる。そんな覚悟ができていてボランティアを始めたわけではないが、保護するという事は猫に手を差し伸べた瞬間から最悪の場合自分が引き取る覚悟をしなければならない。そうは言ってもキャパには限りがあるので、問題ない子はどんどん出さねばならない。一人でも多くの人がペットショップに行かないで保護猫を迎えてくれることを切に願う。

私はこれまで幸いにも、エイズか白血病検査で陽性だったがゆえにうちに残ったという猫はいなかった。一度だけ保護したしまじろうがエイズ陽性だったことはあったが、それはまたすごいラッキーな展開となったことはすでにご紹介済み(第106話から)。
そして肝心のひかるはどうなったのか、それは次号からをお楽しみに。

コラムニスト:Candy (キャンディ)
ネコジルシ:保護猫日記
猫の里親募集:
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