コラム

第123話 エイズ白血病の検査について その2 私の方針

このコラムは、里親として龍馬と凜子を迎えたものの(第1話第2話第3話)、その一年半後に自分の不注意で龍馬を脱走させてしまい(第5話から第22話)その捜索中に沢山の野良猫に出会い、悲惨な現実を知ってしまったことから始まった猫救済のボランティア活動記録である(第23話から第122話)。 

前号第122話において、2016年6月に保護し里親さんに譲渡したひかるというオス猫におきた悲劇として、エイズ白血病には潜伏期間があり、その潜伏期間内の検査であれば、陽性であっても陰性と出てしまうことがあるという実例を紹介した。

ではどうするのがよいのだろうか、という話をする前に、注意書きとして伝えておきたいことがある。ひかるは3歳の成猫だったが、子猫となるとまた話は異なるということだ。子猫の場合は、生後5~6カ月までは親猫からの移行抗体があるため、子猫は本来は陰性なのに、母猫が陽性だったら、子猫にも陽性反応が出る場合がある。その場合は移行抗体が消える生後5~6カ月になると自然と陰性になっているということも多くあるのだ。

大人猫と子猫の場合は、分けて考えなければならない。子猫の話はまたあとで。

まず、ひかるにあったように大人猫の場合、理想的には保護してすぐの潜伏期間中は、検査しても正確には結果が出ないので、他の猫への感染の可能性を防ぐためにも隔離し、潜伏期間が終わってから検査することが望ましい。

ちなみに、潜伏期間は白血病は約1カ月、エイズの場合は2カ月と聞いた。少し難しい話になるが、猫エイズの検査はウイルスに対する「抗体」を検出する検査であるのに対し、白血病はウイルスそのもの「抗原」を検出する検査である。ウイルスそのものがいるかどうかを検査する白血病の抗原検査は、感染してから1カ月ほどで検査できるが、ウイルスが体内に侵入したらそれをやっつけようとする抗体が作られ、その抗体を検査するエイズの場合は、検出されるまでに2~3カ月かかると言われている。

理想的には両方の潜伏期間が終了してから検査するのが望ましいが、そうすると、エイズの潜伏期間が終わるまで2~3カ月も隔離し、検査を待たねばならないことになる。ほとんどの保護主は沢山の保護猫を抱えている。どんどん新たに保護されてくる猫をそれぞれ隔離するスペースをもってはいないし、少しでも早く里親募集にとりかかりたいものだ。

いつもお世話になっているドクターに確認すると、1カ月経過して検査すれば、いずれもほぼ正しい結果がでると考えてよいとのことだった。そもそもエイズの場合は、避妊去勢し発情を抑えていれば、よほど激しい喧嘩をすることがなければ、感染することも多くないと言われている。

ということで、いずれも保護して1カ月経過してから検査すれば信頼性が高いと思ってよいだろう。

保護して1カ月後に検査というのは、大人の猫の場合の理想論だ。しかし、それだと1カ月間保護主としてはとても心配な状態が続く。保護した猫を自宅に連れ帰って大丈夫なのかどうか、一刻も早く検査結果が知りたいと思うものなのだ。たまたま私はひかるの事例を経験したのでとても神経質になっているが、他に2度目の検査で実は陽性だったという経験を持つ保護主は周りにはいなかった。潜伏期間があるということすら知らない保護主も多かった。実際私が聞いた中で『2回検査する』と言われたのは、シェルター運営者だけだった。やはりシェルターに多くの猫を保護していると、ひかるのようなケースも実際あったらしい。ということは、ひかるのように、長く外にいる猫なのに、たまたま運悪く保護する1~2カ月前にエイズや白血病に感染してしまったというのは、かなり確率の低い稀なことであるのだろう。 

稀なことなのにとても大変な労力を要する。余りに大変なことになると、保護できなくなってしまっても本転倒である。しかし、その稀なことが私には起こったのだ。だれにも起こりうる。しかも、私はその時の無知から、素晴らしい里親さんをあんなに悲しませてしまったのだ。絶対にそれを無駄にしてはいけないと思っている。

一体どうすればよいのか、考えに考えた。
当時の私のように潜伏期間中のことを知らないのは譲渡主としてまずいと思う。すべてインフォームドコンセントが大事だ。里親さんには情報を隠さず伝えた上で、終生飼育の覚悟を決めてもらわねばフェアではないと思う。

その経験から私が学び、私の譲渡方針として決めたことは、やはり潜伏期間の1カ月間に自宅に連れ帰る場合は、その時点で検査、陰性であれば、恐らく2度目の検査も陰性であろうと仮定して連れ帰り里親募集の準備に入る。それでも他の猫と接触させない。そして、保護してから1カ月後に再検査を行う。保護して1カ月以内に里親さんが決まった場合には、1度目の検査で陰性と出てはいるが、まだ潜伏期間内なので、もしかしたら陽性の可能性があるということを伝え、2度目の検査を里親さんにしてもらうようお願いする。2度目の検査が正式譲渡になる前であれば、その検査の結果、万一陽性と出てしまったら返してもらっても構わないとし、2度目の検査が正式譲渡後に相当する場合は、事前にどんな結果が出ても終生飼育すると誓ってもらってからの譲渡とする。
そして、先住猫がいる場合は、先住猫にも同様に、潜伏期間経過後の検査で陰性であることを条件とする。そうでないと、うちから出す子に2度検査する意味がなくなる。また、うちの猫が1匹目であり、その後2匹目を迎えたいと考えている人には、次に迎える子の検査にも充分注意してもらうようお願いする。 

ひかるの事件以来2年、その経験を踏まえ、上記の条件で譲渡話を進めてきたが、私が話した人全員、ひかるのこと、潜伏期間の事、検査のこと、よく理解してくださった。
具体的にはまた後日個別に詳しく紹介するが、ある生後4か月の姉妹猫については、保護してすぐの1度目の検査で陰性、その後2~3週間で里親希望者さんに出会った。その時私は検査をした時期がまだ潜伏期間であり、陰性を確定するためには再検査が必要であることを説明。それで陽性であったらどうするかと聞いたところ、どんな結果でも受け入れて最期まで飼育すると約束してくれた素晴らしい里親さんであった。結果、陰性でありほっとした。

また別の子猫は、私が先住猫を譲渡したお宅に迎えられることになったが、ひかるの件は、事件発生直後に話してあり、私の譲渡猫に起こった話だったので、再検査の必要性も充分理解してくれ、すぐに先住の2回目の検査へ。先住も陰性、子猫の2回目の検査も陰性で、晴れて譲渡へ。

また、別の子猫は6歳の先住猫がいるお宅から希望が。うちから出す子猫は2度検査をクリア。先住猫の血液検査していますか、と私が聞いたら、しているはずだと答えられたので、検査結果を見せてもらったところ、見せられたのは一般の内科の健康診断の血液検査の結果だった。そこにはエイズ白血病は含まれていなかった。話を聞いてみたところ、その先住猫はある愛護団体から生後2カ月の時に譲渡を受けたとのことで、どんな検査をされたか記憶にないとのことだった。
エイズ白血病検査をしているかどうかわからない先住猫がいるのであれば、私から譲渡できない。そこで、その団体の名前を聞き、私がネットで調べたところ、生後6カ月までの子猫については、血液検査をしないと書いてあった。この里親さんはその意味をよく分かっておらず、譲渡を受けたのちに、病院に連れて行き「血液検査」をしてくださいと言い、それですべて何も問題ないと思って6年も過ごしてこられたのだが、実はエイズ白血病検査そのものをしたことがなかったということが発覚したのだ。私の方からそれを説明し、6歳の子に2回目どころか1回目の検査をしてもらい、陰性と判明。晴れて譲渡となった。 

ちなみに、一般的に血液検査と言うと、通常健康診断で行う、内臓数値を見る検査のことを指し、私達ボランティアが保護譲渡をする時に血液検査というと、エイズ白血病検査を事を指すのだが、これは説明しないと一般の人にはわからないであろう。里親募集サイトなどで、血液検査陰性、とか、ウイルス検査陰性と書いてあるのは、エイズ白血病検査が陰性ということを指すことが多いが、普通に血液検査してください、と病院に行くと、エイズ白血病は含まれない。私達もこのような紛らわしい言葉の使い方をしてはならないと思う。私はそれ以来、エイズ白血病検査とはっきり言葉を使い分けるようにしている。

言葉の使い方もさておき、子猫にはエイズ白血病検査をしないと言う団体や保護主は実は多い。それは上記で書いた移行抗体の問題があるからだ。私はあまり多くの子猫に遭遇しないので、保護した子はすべて潜伏期間後の検査をしているが、しないという人にも理由はある。それについては次号で説明する。

コラムニスト:Candy (キャンディ)
ネコジルシ:保護猫日記
猫の里親募集:
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