コラム

第122話 エイズ白血病の検査について その1 ひかるの悲劇からの教訓

このコラムは、里親として龍馬と凜子を迎えたものの(第1話第2話第3話)、その一年半後に自分の不注意で龍馬を脱走させてしまい(第5話から第22話)その捜索中に沢山の野良猫に出会い、悲惨な現実を知ってしまったことから始まった猫救済のボランティア活動記録である(第23話から第121話)。

そのコラムも早122話。活動中に遭遇し保護した猫について、1匹づつその後の身の上を綴ってきた。文筆家でもない私が時間を割いて執筆する理由はただ一つ、少しでも多くの猫を救うことだ。読者の方に、活動を知ってもらい共感してもらうことによって、自ら救う側になってもらいたい、あるいは救う活動をする私達を理解、支援してもらいたい、また猫と接するときに私の経験から学んだことを役立ててほしいからだ。

今回書くエイズ白血病検査については、特に伝えたいと思っていた話だ。この話を書く機会をずっと待っていた。なぜ今まで待っていたのかというと、この後で綴っていくひかるという保護猫に起きた話だからだ。上のサブタイトルにもあるように、悲劇からの教訓なので、私が痛い思いをして学んだことだ。それを無駄にしない為にも是非とも多くの人に読んでもらいたい。

ひかるを保護したのは2016年6月のことである。その子のストーリーは今後時系列で詳しく書いていくが、その子は保護当時推定3歳。人馴れしていたがビビりな男の子だった。いつものように保護してから病院に預かってもらったものの、その子は病院が嫌いだったらしく、ハンスト起こして食べないとドクターから言われ、可哀想になって自宅に連れ帰った。
もちろん保護してすぐに行ったエイズ白血病検査では陰性、ワクチン、駆虫、去勢手術を全て済ませた状態で自宅へ来た。

ひかるには運よく保護して1カ月もしないうちに素晴らしい里親さんが見つかった。私の方から是非もらってほしいと、惚れ込んでしまうほどの素晴らしい家族だった。その後、もう1匹も私から迎えてもらい、パパとママと1匹は幸せな4人家族になった…はずだった。

その後数か月して里親さんから連絡があり、地元の病院で秋の健康診断を受けたら、エイズ白血病の再検査もついでに勧められ、気軽に受けたところ、なんと白血病陽性と出てしまったと。里親さんもパニックされただろうが、私も訳がわからず頭の中が真っ白に。

気を取り直して調べてみたところ、白血病ウイルスには潜伏期間があり、感染していても1カ月間は検査結果に出て来ないということらしかった。人間のインフルエンザもそうだろう。症状が出て病院に行って検査しても、感染からすぐであったら陰性と出てしまうことがあるように、猫白血病にも1カ月の潜伏期間があったのだった。保護してすぐの検査で陰性、その数か月後に陽性になっていたとするならば、ひかるは1歳まで生きてきて無事だったのに、たまたま保護した日から1カ月前までの間に感染したということになる。非常に稀なことだったのだろう。正確な結果を求めるならば、保護してから、感染している可能性のある猫との接触を一切断ち切った状態で1カ月経過してから検査することが必要だったのだ。

多くの保護主は、沢山の猫を自宅で保護しているので、新しい猫は保護してすぐに検査する。陽性だった場合、自宅の他の猫に感染しないように隔離しないといけない。また里親募集をするにあたり、エイズ白血病検査の結果は必須だ。陽性なら陽性であることを理解した上で迎えてもらわねばならない。覚悟やその人のライフスタイル、また先住猫がいたら隔離して飼うことができるのか、真剣に見極めてもらわねばならないからだ。(エイズは滅多に感染しないので隔離しないで他の猫と一緒に飼育している例も多い)

私は、エイズ白血病の潜伏期間について何も知識なく、何も知らずに、ひかるを一度目の検査で陰性と出たので、陰性として里子に出してしまった。結果、あんなにすばらしい里親さんを悲しませてしまい、本当に申し訳なかったと思いながらも、なぜ誰も今まで教えてくれなかったのかとも思った。周囲に聞いてみたところ、そのことを知っていたボランティアは一人もいなかった。保護活動をしている先輩ボランティアや今回検査してくれた獣医師だけでなく、それまで検査してもらったことがある他の病院でも、そして、私も里親だが、うちの猫の譲渡主からも、2回検査したという話は聞いていない。

訳がわからず、パニックしながらも、私は、他の人が知っていたか否かを調査するよりも、まず2次感染を防がなければならなかった。私の頭は、やらねばならないことの優先順位付けをするのにオーバーヒート状態。まずは、ひかるの家に2匹目として迎えてもらっていた礼に感染が及ばないように、ひかると引き離してもらうように里親さんにはお願いする。礼の再検査をするためにも、2カ月間、接触させない状態にしてから、潜伏期間の経過を待ち、それから検査となる。礼は紆余曲折があったのち、その里親さんの有難い慈悲の心によって迎えてもらった猫であり、1人にするとパニックするワケありの子で、隔離が難しい状況であった。それらについてはまた後日詳しく書く予定。

そしてそれ以外にひかると接触した他の猫にも感染の可能性があることになる。何ということだろう。いつもは保護した猫をうちには連れて帰らないのに、ひかるに限って3週間もうちに置いていたのだった。ということは、ひかると接触したのは当時のうちの猫達5匹と、他に里子に行ったもう1匹、合計6匹も感染したかもしれない。すべて再検査が必要となる。感染力がどのくらいかわからなかったが、唾液でも感染すると聞き、一本のチュールを複数の猫に舐めさせてしまっていたことを思いだし、恐ろしくなった。全頭陽性なら隔離はいらないが、一部陽性だったら、うちでも隔離していかねばならなくなる。うちには余分な部屋もないし、仕事や親の遠距離介護で多忙を極める私に、白血病の子を世話していく自信などとてもなかった。

そして、考えねばならなかったのは直接接触して感染したかもしれない猫達の事だけではなかった。それまで里子に出してきた猫達も皆保護してからすぐの1回だけしか検査していない。すぐにそれまでの里親さんに連絡をし、経緯を説明の上、再検査してもらうようお願いした。

幸運なことに今のところ、再検査したうちの猫、他の譲渡猫も皆陰性であったが、何と大変なことになってしまったのだろう。大変だったか否かということよりも、あんなに素晴らしい里親さんを自分の無知によって悲しませてしまい、心から申し訳なかった。保護譲渡の活動をする者として、そのくらいの基礎知識は持っていて当然であり、2回検査をして陰性確定にしてから譲渡するなり、一度しか検査しないならばその旨を里親さんに説明する責任があったと思う。申し訳ないと同時に、その里親さんでなければこの事態に対応できなかったであろうと感謝もしている。発症してから気付いたのではもう遅い。発症したら短期間に亡くなってしまうことがとても多いのだ。陽性であることを知り、発症させないようなケアをしていくことで、少しでも長く平和に過ごして行けるのだ。

詳しくは後日書くが、私には、申し訳ない、有難いで終わっては、その里親さんに顔向けができない。この苦い体験を私はどう教訓として生かしていくか真剣に考えなければならない。その一つが、こうやって体験を共有することだ。こんなこともあるのだと保護活動をする人にも、これから里親になろうとしている人にも、是非知っておいてもらいたいと思う。そして、次号では色々な保護活動のやり方がある中、私はエイズ白血病検査についてその後どう対応することにしたのかを私の提言として紹介したいと思う。
続く。

コラムニスト:Candy (キャンディ)
ネコジルシ:保護猫日記
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