コラム

第112話 骨肉腫珠子の悲しい生涯 その3 いざ捕獲、意外と難航

2011年の事。龍馬と凜子の里親になったところから始まった私の猫ライフ(第1話第2話第3話)。ところが、その後しばらくして、自分の不注意で龍馬を脱走させてしまい(第5話から第22話)、その捜索中に沢山の野良猫に出会い、悲惨な現実を知ってしまった事をきっかけに、ボランティア活動を始めることになった(第23話から第110話)。主な活動は野良猫の避妊去勢手術、子猫や人馴れした成猫の保護、譲渡、具合の悪い猫への投薬、入院治療など。このコラムにその中で遭遇した様々な事件を書き綴ってきた。

時は2016年3月。猫道と呼ばれている猫のたまり場(第28話)で、具合の悪そうな猫がいると餌やりのイチゴさん(第29話)から連絡あり。行ってみると、胸元に大きなテニスボール状の腫瘍を抱えているように見えた猫が(第110話)。玉を抱えていたので珠子に。悩んだ挙句、保護して病院に連れて行く事に(第111話)。

保護すると決めたら一刻も早く捕獲しなければ、手遅れになってしまっては元も子もない。
絶対捕まえるぞとあらゆる道具を持って行っていた。捕獲器、ケージ、キャリー、シーツ、タオルなど。
珠子には避妊手術済みの証である耳カットがあった。ということは以前捕獲器で捕まった経験があるということだ。その場合は捕獲器を覚えていてなかなか入ってくれないことが多い。
やはり持参した捕獲器には入らなかった。 

ほんの50センチ先でうずくまっている珠子。さっと掴んだら捕まりそうなものだが、そこが猫。あと10センチのところですっと身をかわし逃げてしまう。イチゴさんが、大きなシーツを被せたらどうだと言う。
うーん、確かにもう走って逃げる体力はなさそうで、こちらから捕まえようとすると、のそのそとしか移動できない。大型のシーツを広げて被せ、人間数人でシーツの端を抑えてしまえば、身動きできなくなるのではないか、という浅はかな考えを実行することに。
シーツを広げて被せる役割もやはり、唯一近寄れることができる餌やりのイチゴさんだ。高齢のお婆さんであるイチゴさんは、自信ないと言いながらも他にできる人はいないのだ。イチゴさんがシーツを大きく広げ、うずくまっている珠子の上に被せようとしたが、シーツを広げただけで異変を感じて逃げてしまった。 ぐぐぐ。。

次に普通の小ケージかキャリーバックでトライ。その中においしい餌をいれたら怪しまずに入るのではないかと想定。捕獲器ではないので、猫が入っても蓋が自動で閉まるわけではない。そこがまた問題ではあるが、入ってくれなければどうにもならない。餌場に小ケージとキャリー両方を置き、私は遠くに隠れ、餌やりのイチゴさんに餌を中に入れてもらう。 
猫が入ったら扉を閉めてね、とイチゴさんに頼むも、やだ、自信ないと及び腰。
そうこうしているうちに、珠子がのそのそと動いてキャリーバックの中に入ったのだ。え、なんでキャリー?昔飼い猫だったのかなぁ。いや、そんな事はどうでもいい、とにかく扉を閉めなければ!
立ち上がると気配で逃げてしまう。私は猫よりも下手な匍匐前進でそろそろとキャリーに近づく。
 
よし、今だ!扉しめるぞ!!
と思った瞬間、珠子は危険を察知してすーっとキャリーから出て行った。
うっそぉ。あと2秒だったのにぃ。

現場にはイチゴさんの他に、いつも猫道で猫と遊んでいくSDさんというお兄ちゃんも来ていた。SDさんは餌やりではない。頻繁には来るが、少しおやつ程度に与えてあとは遊んでいくことがメインだ。それでも何故か猫に誰よりも好かれる。私が捕獲器で捕まらなくて苦労している荒くれ野良猫とお友達になり、ひょいと手で捕まえてくれたこともあった人だ。SDさんも珠子の存在は知っていて気にしていたらしい。SDさんも珠子には触ったことがないと言っていた。

捕獲網と捕獲器で奮くそー。次なる作戦は…と思ったが、もう持ってきていた小道具も使い果たした。どうしよう。
以前、誰かに捕獲網(タモ)を使って捕まえたことがある話を聞いたことがあった。
それは使い方が難しい。虫取り網の大型版だが、人間が網を振り上げて振り下ろす速度は、猫が危険を察知して逃げる速度には負けてしまう。その網の中に猫を入れること自体とても難しい。それに、竿の部分をもって遠くから振りおろし猫を捕まえたとしても、トンボのように軽いわけではないので、中で暴れたらこちらの抑える力が負けて逃げてしまう可能性も。そして、うまく抑えられたとしても、そこからどうやって入れ物の中に移動させるかだ。トンボを想像してほしい。トンボなら、虫取り網からカゴの中に入れるのは、竿を持っていた手を放して、網を持ち、中にいるトンボをちょいと手で撮むか、網を手で小さく掴んで逃げないように口を縛り、カゴの入口に虫が入っている網の部分を押し込んで移し替えるだろうが、猫だ。それができるだろうか。私はやったことがないし、できるとも思えなかった。失敗したら、二度と珠子はその場に現れなくなるかもしれない。だが、もうそれしか選択肢は残ってなかった。その網も持っていないが、警察が持っているという情報が。

珠子がいなくならないようにイチゴさんに見張っていてもらい、私は近くの交番へ走る。おまわりさんに事情を話し、網を貸してもらう。交番にあったのはもっと大きな動物用だった(注:警察も行政も猫の捕獲駆除はいたしません)。 

急いで現場に戻ると、あれ?珠子が小ケージの中に入ってるじゃん。え?どういうこと?
ケージに入った珠子私が交番に走っている間にSDさんが抱っこしてケージに入れたのだと。何とまぁ。 
こういう時って嬉し悲しだ。捕まえたのは嬉しいが、どんなに猫のことを思い、町中駆けずり回って避妊去勢手術をし、保護活動し、手術代、治療代を支払ってやっても、私は猫には好かれない。好かれるのは餌やりとか遊んでくれる人だ。そりゃそうだ。猫から見たら、捕獲器もって追いかけ回している怖いおばさんでしかないのだからな。

まあいいや。とにかく捕まったのだ。とりあえずはホッとし、いつもお世話になっている病院に入院させ診断を待つことに。
続く。

コラムニスト:Candy (キャンディ)
ネコジルシ:保護猫日記
猫の里親募集:大田区の虎徹 コテツちゃん

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