コラム

第101話 太郎の爆笑話 その2

里親として龍馬と凜子を迎え(第1話第2話第3話)、そのまま単なる飼い主として楽しく猫ライフを送るはずだったところ、その一年半後に自分の不注意で龍馬を脱走させてしまい、(第5話から第26話)、その捜索中に沢山の野良猫に出会い、悲惨な現実を知ってしまった事をきっかけに、ボランティア活動を始めることになってしまった。それから4年以上、色々な事件に遭遇し、止めるに止められず今でも続いている。(第36話から第99話)。 
その体験記を綴って早100話以上だ。新米ボランティアの私でも、そんなに多くのネタがあるのかと自分でも驚いてしまう。辛く苦しく怒りを感じる事件ばかりだが、第100話を記念して珍しく爆笑話を披露することにした。(第100話

時は2016年3月。猫の発情から出産を控えた時期。商店街でお腹が膨らんでいるような猫を見かけてしまった。妊娠の疑いはありそう、早く捕まえて病院へ連れて行かねば。焦りながら近隣のリサーチをし、その猫はあるお婆さん姉妹が自宅の裏庭で餌をあげている猫と判明。その家を訪ね、その猫について聞いてみると、お婆さんは、太郎と呼び、そのお婆さんの妹はきな子ちゃんと呼ぶ。
オスなのかメスなのかも不明。
どっちだかわからないなら尚更捕まえて病院で見てもらわねば。ぐずぐずして生まれてしまったら大変だ。お婆さん姉妹に不妊手術の必要性と捕獲の協力を要請し、快諾をもらうが、話が通じているのかどうかどうも定かでない。頼りない婆さんたちだが、とにかく野良猫の捕獲には餌やりさんの協力が不可欠だ。 

まずは私が捕獲器をしかけに来る前日の夜と当日の朝はご飯を抜いてもらわねばならない。いつも大きなどんぶりを庭に置き、空っぽになったらドライフードを補充するのだそうだ。いつも食べ放題らしい。このように餌を置きっぱなしにすることは望ましくない。その理由は後で説明する。
本来はそのどんぶりが置いてあるところに捕獲器を置きたいのだが、その裏庭は人間は外から入れない。お婆さんがお経をあげている部屋に入れてもらわねば捕獲器を設置できない。しかも、非常に狭く、人間が歩くスペースはない。何とかしてその猫を自宅敷地の外の広いスペースに誘導し、捕獲しなければならない。そのためには兵糧攻めでうんとお腹をすかせなければ難しい。

猫がどんなに可哀想でも、食べに来ておねだりされても、私が電話した時はご飯あげないでね、と念をおしておく。
捕獲の日、お婆さんに餌を抜いたかどうかの確認をすると、「あらあ、あげちゃったわ。」ということもあり。
そうなるとその日は作戦決行できない。

2回目のトライ。太郎だかきな子だかわからないが、その猫は、設置した捕獲器の中の餌の匂いに惹かれて近寄ってきたものの、警戒して経過して中に入らない。チラチラとこっちを見ている。なんだか怪しいおばさんがいるなという表情。 

そのうちに、見たこともない他の野良猫がやってきた。捕獲器の中に入れた御馳走にそそられたのであろう。相当目つきも悪く、体も汚れて汚い。餌やりさんに取り入って御馳走に預かれるようなタイプの猫ではない。深夜誰もいない時間に、太郎のようにいつでもたっぷりと餌が置いてあるところにやってきて盗み食いをしているのであろう。その日はたまたま太郎の餌もなく、お腹を空かせていたので、捕獲器の中の餌の匂いに誘われ、あっという間に捕獲器に入ってしまった。

狙った子ではないが、恐らくこの猫も未手術であろう。そんなに簡単に捕獲器に入る猫は、捕獲器を知らないので、それまでに捕まったことがない子だ。その日は太郎を諦め、その野良猫を病院に搬送、去勢手術をし、翌日に元の場所に放した。お腹空かせて出て来てみれば、いきなり大きな罠にかかってしまい、去勢手術をされ痛い思い、怖い思いをしたのだから、もう2度とこの猫は人目に触れるところには出てこないだろうなと思った。そうなると今度からご飯にありつけるのか心配でたまらない。
どんなに願っても全ての猫を幸せにしてあげることはできない。この活動をしていると、そういう現実を突きつけられ、胸が痛い思いをする。

しかし、やるべきことはとにかく不幸な猫を増やさないこと、そのためには何が何でも不妊去勢手術だ。太郎の捕獲に全力をつくさねば。 
その後何度か捕獲をトライした。しかし、捕獲器の周りには来て、入り口近くに置いてある餌だけ食べ、どうしても奥まで入ろうとしない。まるで捕獲器を知っているかのような動き方だった。つまり、以前捕まったことがあり、手術済みということもあり得るかと思い始めた。ということは、妊婦ではなく、単なるデブだということにもなる。なので、その猫は、きな子ではなく、太郎なのかもしれない。

丁度こちらを向いていたところ、写真を撮り、顔をアップにしてみると、なんだかオスっぽい顔だし、耳カットもしてあるようにも見える。しかし近寄れないから確認できない。喧嘩傷かもしれない。やはり捕まえて病院で診てもらわないと安心できない。

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それから3回ほとトライした日、やはりその猫は、捕獲器の途中まで入り、器用にも蓋が閉まらないように用心深く、餌だけ咥えて逃げようとする。あちゃ、この子頭がいい。
なかなか捕まらないのに業を煮やし、SNSで捕獲を実況中継していたら、ある人が捕まりやすい捕獲器の設置方法をコメントくれた。その通りやってみたところ、何とガシャンと音がして捕獲器の蓋が閉まる。やった!捕まった!猫友さんはありがたい。

早速いつもお世話になっている獣医さんに連れて行き事情を話す。
すると先生、これは明らかに手術後の耳カットですよと。右耳にカットしてあったので、この子はオスであり、きな子ちゃんでなはなく太郎であること、そして妊婦と間違えるほどにデブだということが明白になった。去勢手術の必要はないが、折角病院に行ったのでワクチンと駆虫薬をプレゼントしておいた。

太郎を元の場所に戻し、餌やりのお婆さんに報告と同時に、忠告もした。
太郎は太り過ぎだ。どんぶりでの置き餌食べ放題はやめ、決まった量を決まった時間に与えるように注意した。デブは人間も猫も健康に悪い。糖尿病や心臓病のリスクが高くなる。それに、置きっぱなしにするとカラスがつついたり、不衛生になるだけでなく、いつどんな猫が食べに来ているかわからないから、捕獲手術できない猫を生んでしまうのだ。するとお婆さん、「そうそう、前飼っていた猫が、一緒に布団で寝ていたのに、朝起きてみたら死んでたの。」と。

ええ?まさか太り過ぎ死?
はい、そうでした。肥満が原因の心臓麻痺だったのだろう。食べ放題の置き餌を自宅内でもしており、かなりのデブだったらしい。

オスでもメスでも、妊婦でなくただのデブかもしれなくても、とにかく1匹でも見逃さないよう、見かけた野良猫は全て不妊去勢手術を!
そしてついでに、猫も人間も太りすぎには注意を!

コラムニスト:Candy (キャンディ)
ネコジルシ:保護猫日記

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