コラム

再生医療と高度医療から考えるペット保険

ペットの生涯でかかる医療費総額の平均は右肩上がりになっています。これは、ペットの高齢化が原因のケガや病気が増えたことや、昔は治療ができなかったものも、近年の人に対する医療分野のめざましい発展に伴い、ペットの医療分野も高度化を進める動きが活発化したことから治療が可能になったことが理由です。

医療技術の進化は、人の分野でも最先端技術である「再生医療」にまで及んでいます。
今回は、再生医療がどういうものか、そして高度医療による治療費の問題についてのお話です。

再生医療と高度医療から考えるペット保険

再生医療とは?

病気やケガなどで正常な機能が失われてしまった部位を修復し、その機能を回復させるのが再生医療です。広くは、他人や自分の体の健康な一部を、病気やケガの部分に”移植する”ことで機能を修復する、従来の方法も再生医療の一部に入ります。

しかし、現在注目されているのはそれよりも進んだ技術です。健康な細胞(できれば自分の細胞)を培養(増やす)し、それを体内に入れる(戻す)ことで元の健康な状態に戻していく治療法です。

この技術で治療することを「細胞治療(幹細胞治療)」と言います。現在、再生医療と言えば、この技術のことを指していることがほとんどです。

今までの治療では全快が難しかった病気やケガでも、治る可能性が飛躍的に高まることはもちろん、治療時の苦痛が少ないことも、細胞治療による再生医療の大きなメリットとして挙げられます。
また、将来的には見た目も体内も、全体が若返ることすら可能になるとも言われており、美容分野でも注目されている治療法です。

細胞治療とは?

健康な骨髄や筋肉などの細胞は幹細胞といい、元の細胞から他の細胞へ変化させることもできます。これを分化というのですが、具体的には、骨髄から採取した細胞を培養する過程で、筋肉や血管、骨などへ変化させることができます。
こうして、体の外で培養して作られた筋肉や血管、骨などの組織を体に戻すことで、機能を回復する方法を細胞治療と言います。

“ケガで欠損してしまったり、病気で弱っている部分以外”の自分の細胞から、弱っている部分を補う”若い組織”を作り出すことのできるのが特徴です。
具体的には、従来は心臓移植をしなければならなかった寝たきりの人が、自分の太ももの細胞から作った心筋シートを心臓に貼ることで健康的な生活を取り戻したり、乳がんで乳房全体を失くした人が、元と変わらない乳房を取り戻した例も報告されています。

また、もう一つの細胞療法として「免疫細胞療法」というものがあります。
これは、体をばい菌などから守る”免疫細胞”を培養し、使うことでガン細胞などを縮小・消滅させたり、免疫力(自然治癒力)を向上させたりする療法です。

ペットの再生医療はどこまで進んでいる?

主に、人に関する再生医療について紹介しましたが、ペットの再生医療はどこまで進んでいるのでしょうか?

人の分野では、細胞を培養したシートなどの販売が「再生医療等製品」として薬事法(医薬品医療機器等法)で認められていますが、ペットに関しては日本ではまだ認められていません。
そのため、現在は動物病院が個別に、ペットから採取した細胞を培養する形で行っているのが現状です。

そうなると医療レベルの差が心配になりますが、現在、獣医再生医療研究会に所属して、知識を共有している病院が全国に180弱余り。また、獣医師に向けての細胞培養トレーニングをする機関や、そうした場所を通じての資料(臨床例)や学術発表の共有などから最善を尽くしている病院も多数あります。
不安な場合は、その病院がどのような取り組みをしているのかを調べてみましょう。

最新情報としては、2016年10月に富士フイルムとアニコムホールディングスが「再生医療を中心とした動物の先端医療技術・サービスを開発・提供」する合弁会社を設立、本格始動しました。今後、ペットの再生医療分野も飛躍して発展するものと思われます。

ペットの再生医療の具体例

現在行われている再生治療で効果を上げている具体例を一部紹介します。
どれも他の治療法では治すことが難しいと言われていたケガや病気です。大切な家族であるペットの寿命を延ばすだけではなく、健康な状態に戻してくれる希望の治療であることは確かです。

具体例

  • 足をケガしたことにより、骨の一部を無くしてしまった犬に幹細胞療法を施し、一年後には歩けるまでに回復した。
  • 椎間板ヘルニアで歩けなくなったペットに、培養した組織を数回注射する療法を実施したところ、3回目で普通に遊べるまで回復した。
  • 免疫細胞の一種、樹状細胞(じゅじょうさいぼう)を増殖&活性化させたものを投与することで、ガン細胞のみを攻撃。ガンの除去・再発予防に成功。

ペット保険の必要性と現状

再生医療は、ペットも受けることができるのはわかりました。しかし、問題はその治療費です。ペットの場合は自由診療しかないため、その治療費は100%飼い主さんが負担しなければならないからです。

再生医療にかかる費用はその病院によって異なりますが、細胞を採取して培養するまでにまず数十万円、その後体内に戻す治療に数万円(複数回に渡る場合があります)、経過を診るのに数千円~数万円かかります。
どのような再生治療をするかで、その治療期間の幅も大きく異なり、数ヶ月で済む場合もあれば、一年以上かかる場合もあります。

そこで、検討したいのがペット保険です。ペット保険に加入することで、治療費の50%~100%、もしくは定額補償がされるからです。

しかし、ここでも問題があります。ペット保険の種類や会社によっては再生医療は、保険の補償対象外になっていることも多いからです。また、再生医療OKの保険会社も、全般的にOKなわけではなく、病気やケガの治療目的に限っており、見た目の回復に関する再生治療などについては、補償対象外になります。

万が一の時に再生医療も視野に入れている飼い主さんは、再生治療は補償対象か、また、その中でもどのような治療が補償対象なのか、ペット保険に加入する前に一度問合わせ、確認をしておくことをおすすめします。

高度医療はかかりつけ医でも可能?

ペットがケガや病気になった時、まず最初に行くのは、いつもお世話になっている動物病院ですよね。健康診断や予防接種等を含めて、通常の検査や治療をするのがこの「一次診療(プライマリケア)」と呼ばれる一般の動物病院での診療です。

しかし中には、かかりつけの病院では対応できない、病気やケガを負うことがあるかもしれません。

そうした時、人間で言えば、かかりつけのお医者さんから「大学病院に行ってください」と、紹介状を書かれるようなイメージの専門的なケアをしてくれる機関が「二次診療(セカンダリケア)」を行う病院となります。

この二次診療で行われる検査や治療が高度医療です。同じ病院で両方行っているところも少数ながらありますが、ほとんどは別施設となっているのが現状です。できれば一つの施設で全部診て欲しい、と思うのは心情かもしれません。
しかし、高度医療を行うためには、高額な最新設備や専門知識を持った専門医などを確保しなければならないため、一般の動物病院が対応することが困難なのです。

では、高度医療を受けるにはどうしたらよいのでしょうか?

二次診療は誰でも受けられるの?

いきなり初診から高度医療を開始する、ということはまずありません。通常は、一般の動物病院での一次診療の結果をみて判断されます。
そこで必要と医者が判断すれば、連携を取っている二次診療専門の病院を紹介されます。
しかし、一次診療を行う病院の中には、こうしたところと連携のない病院もあります。
その場合、諦めるしかないのでしょうか?

もし、これから動物病院を探すのならば、二次診療も視野に入れて連携を取っているところをかかりつけ医にすることもできます。
すでにお世話になっている病院があり、そこが対応していない場合でも、飼い主さん側で二次診療をしている施設を探して、かかりつけ医に紹介をお願いすることもできます。

「動物病院 二次診療 検索」と入れてWEB検索をすると、全国の二次診療施設が分かりますので、クチコミなども参考に探してみると良いでしょう。

高度医療、いざという時のペット保険とその補償

かかりつけの動物病院で、二次診療が必要と判断された場合、必ず飼い主さんへ打診があります。

かかりつけの動物病院ではこれ以上治療することができないという判断をされたことになるので、飼い主さんには選択肢はないはずなのですが、それでも打診をされるのは、二次診療施設が近隣にあるとは限らないことと、医療費が通常の3~5倍かかるというネックがあるからです。

最愛のペットのことを、高額な医療費がネックとなり助けられなかったとなれば、飼い主さんとしては悔やんでも悔やみきれないと思います。

そこで、いざという時に役立つのがペット保険です。ペット保険があれば、高額な医療費の負担を軽減することができます。
補償のタイプは大きく分けて3つあり、以下の通りです。

  • 定率補償タイプ・・・実際に支払った治療の50%・80%などを、定率で補償します。
  • 実額補償タイプ・・・決められた限度内で、実際にかかった治療費全額が補償されます。
  • 定額補償タイプ・・・かかった治療費に関係なく、一定の金額が補償されます。

この中で、高度医療になった場合でも安心できるタイプは定率補償タイプです。定率補償なら、契約時の補償金額に達するまでは、入通院の日数や回数などに上限なく利用できることが大きなポイントです。
実額補償タイプや定額補償タイプには上限があり、日数や回数に制約のあることが多いのがネックになってしまいます。

また、定額補償タイプの場合は、飼い主さんが支払う金額が必ず発生してしまうというデメリットがあります。医療費が高額になればなるほど、補償される金額も多くなるので、やはり高度治療の場合にも安心感が大きく、おすすめできるのです。

再生医療、高度医療とペット保険

ペットも単なる愛玩動物ではなく、家族の一員として受け入れられるようになってきた現在、医療の分野でもその技術革新はめざましいものがあります。しかし、一方ではまだ、旧態依然と思えるような診療方針を変えない病院もあると聞きます。

再生医療は体にも比較的やさしく、外科的手術をしたくない、抗がん剤などで苦しませたくないなどという希望のある場合や、それが可能になる場合も多い治療法です。

万が一の場合を考えると、再生医療・高度医療の受けられるペット保険の加入検討も含めて、どういうものかを知っておくことが、ペットの幸せに繋がるのではないかと思いました。

ペット保険はケガや病気による治療費が対象になりますので、健康診断や予防接種などはその対象に入りません。なので、まだ一度も病院にかかるようなケガや病気をしたことはないという飼い主さんにとっては、保険料がもったいないと感じてしまうこともあるでしょう。
しかし、ペットの平均寿命は、犬は13歳、猫は12歳と高齢化しています。中には20歳を超えても元気なペットも珍しくなくなってきました。そうしたことを背景に、ペットも人間と同じような病気やケガに見舞われることが多くなってきているのが現状です。

ペットは人間と違い、痛みを訴えることができません。弱みを見せることは命に関わるという弱肉強食の本能から、弱みを隠す傾向にあります。気付いた時には重篤になっていた、ということもあるかもしれません。
愛するペットを守るため、そして飼い主さん自身が後悔しないためにも「安心を買う」つもりで、ペット保険を検討してみてはいかがでしょうか。万が一のときに満足に治療をすることができるようになると思います。

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