コラム

再生医療と高度医療から考えるペット保険

この記事は2017年2月15日の記事を再編集しました。

ペットの生涯かかる医療費総額の平均は、年々右肩上がりになっています。
これはペットの高齢化による病気や怪我が増えたこと、昔は治療ができなかったものも医療分野の発展によって治療が可能になったことが理由です。

医療技術の進化は、人の分野でも最先端技術と言われる「再生医療」にまで及んでいます。
今回は再生医療がどういうものか、そして高度医療による治療費問題についてまとめています。

再生医療と高度医療から考えるペット保険

再生医療とは

再生医療とは、病気や怪我で正常な機能が失われてしまった部位を修復し、その機能を回復させる医療です。広くは、他人や自分の体の健康な一部を、病気や怪我の部分へ「移植する」ことで機能を修復するという従来の方法も再生医療の一部に入ります。

しかし、現在注目されているのはそれよりも進んだ技術です。健康な細胞(できれば自分の細胞)を培養(増やす)し、それを体内へ入れ(戻す)、元の健康な状態へ戻していく治療法です。
このような治療を「細胞治療(幹細胞治療)」と言います。現在の再生医療というと、この技術を指していることがほとんどです。

これまでの治療では全快が難しかった病気や怪我も、治る可能性が飛躍的に高まることはもちろん、治療時の苦痛が少ないことも細胞治療による再生医療の大きなメリットとして挙げられています。

将来的には見た目や体内も、全体が若返ることすら可能になるとも言われており、美容分野でも注目されている治療法です。

細胞治療とは

健康な骨髄や筋肉等の細胞は幹細胞と言われ、元の細胞から他の細胞へ変化させることも可能です。これを分化と言いますが、具体的には骨髄から採取した細胞を培養する過程で、筋肉や血管、骨等へ変化させることができます。

このような体外で培養された筋肉や血管、骨等の組織を体内へ戻すことで機能を回復する方法を「細胞治療」と言います。
怪我で欠損してしまったり、病気で弱っている部分以外の自分の細胞から、弱っている部分を補うための若い組織を作り出すことができるのが特徴です。

具体的には、従来であれば心臓移植が必要であった寝たきりの人が、自分の太ももの細胞から作った心筋シートを心臓に貼ることで健康的な生活を取り戻すことができたり、乳ガンで乳房全体を失くした人が、元と変わらない乳房を取り戻した例も報告されています。

また、もう一つの細胞療法として「免疫細胞療法」があります。
これは体をばい菌等から守る「免疫細胞」を培養し、使用することでガン細胞等を縮小・消滅させたり、免疫力(自然治癒力)を向上させる療法です。

ペットの再生医療はどこまで進んでいる?

ここまでは人に関する再生医療についてを主に紹介してきましたが、ペットの再生医療はどこまで進んでいるのでしょうか。

人の分野では細胞を培養したシート等の販売が「再生医療等製品」として薬事法(医薬品医療機器等法)で認められていますが、ペットに関しては日本でまだ認められていないのが現状です。そのため、現在は動物病院で個別にペットから採取した細胞を培養する形が取られています。

こうなると医療レベルの差が心配になると思いますが、現在獣医再生医療研究会に所属し、知識共有をしている病院が全国に180弱余りあります。また、獣医師に向けて細胞培養トレーニングをする機関や、そのような場所を通じて資料(臨床例)や学術発表の共有等から最善を尽くしている病院も多数あります。
不安がある場合には、その病院ではどのような取り組みがされているのかを調べてみましょう。

最新情報としては、2016年10月に富士フイルムとアニコムホールディングスが「再生医療を中心とした、動物の先端医療技術・サービスを開発、提供」する合弁会社を設立し、本格始動しました。
今後、ペットの再生医療分野も飛躍して発展していくものと思われます。

ペットの再生医療の具体例

現在行われているペットの再生医療で、効果を上げている具体例を一部紹介します。
どれも他の治療方法では治すことが難しいとされていた病気や怪我です。再生医療はペットの寿命を延ばすだけではなく、健康な状態へ戻してくれる希望の治療であることは確かです。

具体例

  • 足を怪我したことで骨の一部を失くしてしまった犬に、幹細胞療法を施し、一年後には歩けるまでに回復した。
  • 椎間板ヘルニアで歩けなくなったペットに、培養した組織を数回注射する療法を実施したところ、3回目で普通に遊べるまでに回復した。
  • 免疫細胞の一種、樹状細胞(じゅじょうさいぼう)を増殖&活性化させたものを投与し、ガン細胞のみを攻撃。ガンの除去・再発予防に成功。

ペット保険の必要性と現状

ペットも再生医療を受けることができるのが分かりました。しかし、問題はその費用です。動物は自由診療しかないため、治療費は100%飼い主が負担しなければなりません。

再生医療にかかる費用は病院によって異なります。しかし、細胞を採取し培養するまでに数十万円、その後体内へ戻す治療に数万円、経過を診るために数千円~数万円かかります。そしてこれが複数回に渡る可能性もあります。
どのような再生医療の方法を取るかによって治療期間の幅も大きく異なり、数ヵ月で済むこともあれば、一年以上かかることもあります。

こうした時に検討したいのが「ペット保険」です。ペット保険へ加入していれば、治療費の何割かを補償してもらうことができます。補償割合は一般的に50%~100%と幅が広いです。

しかし、ここでも問題があります。ペット保険の種類や会社によって「再生医療は保険補償対象外」となっていることも多いのです。また、再生医療の補償がOKな保険会社でも、全般的にOKではなく、病気や怪我の治療目的に限っており、見た目の回復に関する再生治療等については補償対象外になります。

将来的に万一のことが合った時、再生医療も視野に入れている場合には、再生医療の治療が補償対象になるのか、そしてその中でどのような治療が補償対象となるのかを、保険加入前に一度問い合わせて確認することをおすすめします。

高度医療はかかりつけ医でも可能?

レントゲン検査ペットが病気や怪我を負った時、まず最初に行くのはいつもお世話になるかかりつけの病院だと思います。健康診断や予防接種等も含め、通常の検査や治療をするのがこの「一時診療(プライマリケア)」と呼ばれる一般の動物病院での診療です。

しかし、状況によってはかかりつけの病院で対応することが難しいこともあるでしょう。そうした時、人間であればかかりつけ医師から「大学病院へ行ってください」と紹介状を書かれるようなイメージの専門的なケアをしてくれる期間が「二次診療(セカンダリケア)」を行う病院です。

この二次診療で行われる検査や治療が「高度医療」です。同じ病院内で両方対応することができるところも少数ながらありますが、ほとんどは別施設となっているのが現状です。もちろん飼い主であれば、できることならば一つの医療施設で全てを診て欲しいと思うと思います。
しかし、高度医療を行うためには高度な最新設備や専門知識を持った専門医を確保しなければならず、一般の動物病院で対応することが難しいのです。

では、高度医療を受けるためにはどうしたらよいのでしょうか?

二次診療は誰でも受けられるの?

初診からいきなり高度医療を施すことはありません。通常、一般の動物病院で行われる一時診療の結果で判断されます。この時、医師が「高度医療が必要」と判断すれば、連携を取っている二次診療専門の病院を紹介されます。

しかし、一時診療を行う病院によっては二次診療ができる病院と連携していないこともあります。この場合、諦めるしかないのでしょうか?

もしこれから動物病院を探すのであれば、二次診療も視野に入れ、連携を取っているところをかかりつけ医にすることもできます。すでにかかりつけ医があったとしても、そこの病院が対応していない場合、飼い主側で二次診療をしている施設を探し、かかりつけ医に紹介をお願いすることもできます。

「動物病院 二次診療 検索」と入れてWEB検索をしてみると、全国の二次診療施設が分かるので、口コミ等も参考にして探してみるのがおすすめです。

高度医療、いざという時のペット保険とその補償

かかりつけ病院で二次診療が必要と判断された場合、必ず飼い主へ打診があります。その病院ではこれ以上の治療をすることができないと判断されたことになるので、飼い主には選択肢があるはずないですが、それでも打診をされるのは、二次診療施設が近隣にあるとは限らないことと、医療費が通常の3~5倍かかるというネックがあるためです。

高額な医療費がネックとなり、ペットを助けることができないとなれば飼い主として悔やんでも悔やみきれないと思います。

そこでいざという時に役立つのがペット保険です。ペット保険があれば、高額な医療費の負担も軽減することができます。
ペット保険の補償タイプは大きく分けて3つあり、以下の通りです。

  • 定率補償
    実際に支払った治療費の50%や70%等、定率で補償されます。
  • 実額補償
    決められた限度内で、実際にかかった治療費全額が補償されます。
  • 定額補償
    かかった治療費に関係なく、一定の金額が補償されます。

この中で高度医療が必要になった際に安心できるのは「定率補償」です。定率補償なら契約時の補償金額に達するまでは、入通院の日数や回数等に上限なく利用することができるのが大きなポイントです。
実額補償や定額補償は上限があるため、日数や回数に制約があることが多いのがネックになってしまいます。また、定額補償の場合は飼い主が支払う金額が必ず発生するというデメリットがあります。

定率補償は、医療費が高額になればなるほど補償される金額が多くなるので、やはり高度治療の場合にも安心感が大きくおすすめできるのです。

再生医療、高度医療とペット保険

現在、ペットの医療分野の技術革新はめざましいものがあります。しかし、一方ではまだ旧態依然と思えるような診療方針を変えない病院もあると聞きます。

再生医療は体にも比較的やさしく、外科手術をしたくない、抗がん剤などでペットを苦しませたくないという希望のある場合や、それが可能となる場合に多い治療法です。

こうしてもしもの時のことを考えると、再生医療や高度医療を受けたときに補償があるペット保険の加入検討を含めて、どういったものがあるのかを知っておくことがペットの幸せにも繋がるのではないでしょうか。

ペット保険は病気や怪我の治療費が対象となるので、健康診断や予防接種は補償対象となりません。そのため、まだ一度も病院にかかるような病気や怪我を経験したことない飼い主さんにとっては「保険料がもったいない」と感じることもあるでしょう。

しかし、ペットの平均寿命は、犬は13歳、猫は12歳と高齢化が進んでいます。中には20歳を超えても元気に過ごしているペットも珍しくありません。このようなことを背景に、ペットも人間と同じような病気や怪我に見舞われることが多くなっています。

ペットは人間と違い、痛みを訴えることができません。弱みを見せることは命に係わるという弱肉強食の本能から、弱みを隠す傾向にあります。そのため、気付いた時には重篤な状態になっていたということもあるかもしれません。

愛するペットを守るため、そして飼い主自身が後悔しないためにも「安心を買う」つもりでペット保険を検討してみてはいかがでしょうか。万が一の時に満足な治療をすることができるようになると思います。

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