フェレットが気をつけたい病気とペット保険
この記事は2016年10月26日の記事を再編集しました。
フェレットは一般的に親しまれているペットと比べると体が小さく、性格がかわいいことから、飼いやすい小動物の一つです。さらに、犬と猫の良いところを持ち合わせていると言われる程、人間のことが大好きで好奇心が旺盛です。
しかし、一方でフェレットは病気になりやすいとも言われています。
今回はフェレットを飼う際に気をつけたい病気やその対策、そしてフェレットのペット保険についてまとめました。
1 フェレットを飼育する前に知っておきたいこと
2 フェレットが病気になりやすい理由
3 フェレットがなりやすい3大疾患
4 3大疾患の症状、原因と治療法
リンパ腫
副腎腫瘍(右副腎腫瘍)
インスリノーマ
5 インフルエンザにも要注意!!
6 フェレットにペット保険は必要?
フェレットを飼育する前に知っておきたいこと
フェレットは人間に懐きやすいので飼いやすいと言われる面がありますが、寒暖差に弱いため、飼育する際の室内の温度は15~22℃に設定する必要があります。温度管理の面は少し難しく、特に暑さに弱いフェレットは熱中症に要注意です。
なお、フェレットはとても賢いので、しつけをきちんと行うとトイレも覚えます。
フェレットが病気になりやすい理由
フェレットは健康に気をつけて過ごしていたとしても、一生のうち一度は大きな病気にかかると言われています。原因は今のところ完全に解明されているわけではありません。しかし、様々な要因が絡んでいることは確かです。
フェレットも他のペットたちと同様、医療技術の進歩によって平均寿命が延びています。それにより、高齢化に伴う病気を発症することが増えたというのが一つの要因です。
フェレットの平均寿命は6~8歳とされており、長生きした場合でも12~13歳程で一生を終えます。つまり、生まれてからの成長が早く、4歳の時点で「シニア」と呼ばれる程に衰えが出てくるのも早いのです。
また、ペットとして飼育されるフェレットは、ほとんどがペットショップから引き渡される前に去勢・避妊手術を済ませています。これがフェレット3大疾患の一つとも言われる「副腎腫瘍」を誘発させてしまう原因にもなっていると言われています。
フェレットがなりやすい3大疾患
フェレットがなりやすい病気の中でも、特に多くみられる3大疾患は「リンパ腫」「副腎腫瘍」「インスリノーマ」です。
3大疾患には、兆候が見られることがあります。兆候を見逃さないためにも普段からスキンシップ等、コミュニケーションを取り、観察することが重要となります。
3大疾患の症状、原因と治療法
フェレット3大疾患を病気別に兆候と症状、原因と治療法を見てみましょう。
病気の兆候や症状は、必ずしも特定の病気のみで見られるものではないので、兆候があるからといって3大疾患であると判断することはできません。もしもの時に慌てないためにも、一つのサインとして認識し、病院を受診することが望ましいです。
リンパ腫
兆候・症状
リンパ腫は特定の部位に起きる病気ではなく、全身至るところで発生する可能性のある病気です。そのため、兆候を読み取るのが難しい病気でもあります。
共通する症状として微熱が続いたり、体重減少、食欲減退、ぐったりして元気がなくなる等の変化が見られることがあります。
また、部位別で見られる発症場所と症状もあります。以下症状の他に、その部分にしこりを感じたりすることもあります。
- 脊髄 … 痙攣、麻痺
- 胸 … 咳、呼吸困難
- 腹部 … 嘔吐、下痢、血便
- 骨髄 … 貧血
万が一、しこりを感じることがある場合には、それ以上はなるべく触れずに、すぐに動物病院を受診しましょう。
原因
リンパ腫というのは、簡単に言うと血液の癌です。血液中の免疫機能を管理するリンパ球(白血球)が悪性腫瘍に変化してしまうことによって起こります。
進行性の病気のため完治することが難しく、命を落とすこともある病気ですが、進行を遅らせたりすることはできます。場合によっては、ほぼ健康時と変わらぬ生活に戻れることもあります。
原因は現在、「遺伝的なもの」と「ウイルスによるもの」の2つが有力候補に挙がっています。
治療方法と費用
外科手術によって腫瘍部分を取り除くこともありますが、ほとんどの場合が抗がん剤による治療となります。
抗がん剤の投与は、1回につき平均1.5万円程となっているので、投与間隔によっては月々の出費も多額になることが予想できます。
対策方法
先に記載の通り、原因が遺伝かウイルスであるのかの実証は現状できていません。また、予防方法も確立されていないのが現実です。
できることと言えば、定期的に健康診断を受け、早期発見をすることが重要と言えます。
副腎腫瘍(右副腎腫瘍)
兆候・症状
副腎腫瘍は高齢になるとかかりやすい病気です。兆候としてよく見られるのが「脱毛」です。副腎腫瘍になったフェレットのほとんどは、どこかしらに脱毛が見られます。多くの場合、尻尾に脱毛が見られるとも言われています。
また、オス・メス共に乳腺が腫れる症状が見られる場合もあります。その他、体臭がきつくなったり、尿漏れや乳頭が目立つ等あります。
性別での違いを見てみると、オスは前立腺肥大によって尿が出にくくなり、メスは陰部の肥大が見られることが多くなります。脱毛症状が見られた場合には、この部分もきちんと確認するようにしましょう。
また、去勢済のオスには、気性が荒くなり、噛んだり暴れたりする行動が見られることもあります。
様々な兆候や症状がありますが、初期段階で見られる症状にはこうしたものがないケースもあるので、あくまでも目安として確認しましょう。
原因
副腎腫瘍はフェレットが非常にかかりやすいと知られている病気です。
「副腎」というのは、腎臓の近くにある小さな2つの臓器です。腫瘍化や肥大化することで発症します。副腎は生きていく上で大切な、様々なホルモンを分泌する役割を担っています。
性腺刺激ホルモンは、オスはアンドロゲン、メスはエストロゲンと言います。このホルモンは睾丸や卵巣にて通常分泌されていますが、フェレットはほとんどの個体がペットとして迎えられる以前に去勢・避妊手術をしているため、ホルモンを分泌させる臓器がありません。そのため、行き場がなくなったホルモン成分は副腎の性ホルモン分泌組織に作用してしまいます。
去勢・避妊手術をすることが、副腎腫瘍の何よりの原因であると考えられていますが、稀に手術をしていないフェレットでも発症することがあります。原因を確実に特定するまでには、まだ時間がかかりそうです。
治療方法と費用
手術にて腫瘍摘出をする場合、入院費用を含めて8~10万円程度の費用が必要となり、決して安いものではありません。だからと言って手術をせずに投薬のみで治療をすることを選択したとしても、必ずしも費用を抑えることができるとは限りません。
投薬治療にて使用する薬は、ホルモンの過剰分泌を抑える薬となり1回分が1万円前後、そして継続した投与が必要となるために、結果的にトータルした医療費が摘出手術よりも高額となってしまったというケースもあります。
副腎は身体の左右両方に一つずつ存在していますが、右副腎は血管にかなり近いところに位置しているため、手術時に誤って血管を切ってしまったりすると命の危機に晒されてしまいます。摘出手術をする場合には、知識と経験を兼ね揃えた獣医師へ相談することをおすすめします。
腫瘍ははじめのうちは良性であることが多いですが、進行するうちに悪性(癌)に変異する可能性もあります。治療に関しては、必ず医師とよく相談しましょう。
対策方法
副腎腫瘍(右副腎腫瘍)の予防は難しいです。しかし、ストレスを感じることでホルモン分泌がされることは分かっています。ですので、フェレットがストレスを感じない環境作りをしてあげることが大切です。
インスリノーマ
兆候・症状
インスリノーマは中高齢のフェレットがかかりやすい病気です。少しでも異変を感じた時には病院を受診するようにしましょう。
インスリノーマの兆候は、後ろ足がふらつく状態や、意識混濁と言われるウトウトした状態が続いたりという症状が見られるようになります。
進行すると、しっかり立つことが困難になったり、よだれを垂らすような症状、痙攣や発作を引き起こしたり、嘔吐や泡を吹くことがあります。
このような症状が見られた場合には、命の危険や後遺障害に発展することも考えられるので注意が必要です。
原因
インスリノーマは、膵臓(すいぞう)にある、インスリンを作り出すβ(ベータ)細胞が腫瘍化することで起こる病気です。β細胞が腫瘍化すると、インスリンが過剰生産されてしまい、インスリンの作用でもある血糖値の低下を必要以上に招いてしまいます。
インスリンは、血液中の糖分を体中の細胞に取り込ませる役割をしています。インスリンが増えると、血液中の糖分がたくさん体の細胞へ出て行くため、低血糖症になります。また、膵臓にできる腫瘍は悪性(癌)であることが多いのも悩みどころです。
治療方法
治療は2通りあります。
一つは腫瘍摘出手術をする方法です。この場合、入院費用を含めて平均20万円ほど費用がかかります。
もう一つは、血糖値を下げる「プレドニゾロン」等を飲ませ、症状を抑える方法です。この場合、薬代が1ヶ月2,000~3,000円ほど必要となります。投薬治療は症状を抑えるだけの治療であるため、治療と並行して低血糖にならないように飼い主さんが食事面でのサポートをする必要があります。
対策方法
インスリノーマも予防することが難しい病気です。腫瘍はできると、周りの臓器へ転移することがあります。
血液検査をすると一度で判別ができるので、早期発見のためにも定期的な健康診断を受けることをおすすめします。
インフルエンザにも要注意!!
フェレットは、人間から感染したり、人間へうつしたりする病気があります。人間にとって身近な「風邪」「インフルエンザ」も該当します。人間にはインフルエンザの予防ワクチンがありますが、フェレットのためのインフルエンザ予防ワクチンは日本にはありません。
ペットを持つ多くの方が、動物によっては人間に病気がうつることを知らないことも多いのが事実です。犬や猫の病気は一般的に人に感染することが少なく、これをフェレットにも同様に当てはめて考えてしまうことはとても危険です。
フェレットがインフルエンザになった際の症状には、目やにや鼻水、咳、くしゃみ、食欲不振、発熱、下痢等がみられます。飼い主である人間がインフルエンザに感染した場合には、フェレットへうつしてしまう可能性もありますので、十分に注意しましょう。
感染確率は、フェレットから人間へ感染するよりも、人間からフェレットへ感染する確率のほうが圧倒的に高いです。特に、若いフェレットほど感染しやすいとされているので、十分に注意してください。
フェレットにペット保険は必要?
フェレットは健康な状態であれば、比較的出費が少ないペットです。しかし、これまでの話を見ても、病気になってしまうと高額な治療費がかかることが分かります。
「掛け捨てのペット保険には加入したくない」と考える場合、ペットの治療費のために貯金をするという方法もあります。たとえば、フェレットがインスリノーマになってしまい治療が必要となった場合、入院と手術の費用だけでも平均20万円前後の費用が必要となります。
もし、月々3,000円程度貯金をしていたとしても、この金額まで貯めるには3年以上かかります。その間に別の病気を発症した場合には、さらに出費が増えることが予想できます。
ペット保険では、フェレット3大疾患の治療費も補償対象となりますし、その他の多くの治療費も対象になることを考えると、万一の備えとして十分に役立つのではないかと思います。
保険料は月々約1,900円~4,300円程です。補償内容はそれぞれ異なり、プランによっては入院のみ、通院のみの治療費が対象といったものもあります。
フェレットのペット保険は、5歳未満でないと加入できる保険がありませんので、「しまった!」となる前に一度検討してみてください。