コラム

犬の歯周病はペット保険で補償される?

この記事は2017年3月29日の記事を再編集しました。

愛犬の口臭が気になる、愛犬の歯が歯垢や歯石で変色している、愛犬の歯がぐらぐらする等、口内トラブルに悩む犬が増えています。
犬の虫歯はとても稀で、口内トラブルの一つである歯周病は、ダントツに多いと言われており、一旦発症すると適切なケアをしなければ日々症状が悪化してしまいます。口内の病気は見た目には分かりづらく飼い主さんが気づきにくいため、犬が異変を示したときには既に手遅れ状態となっているケースもあります。特に小型犬の場合、口内ケアは必須のお手入れと考え、早期に取り組み始めましょう。

今回は犬の歯周病についてまとめました。

犬の歯周病は予防ができる!

歯周病とはどんな病気?

歯周病とはその名の通り、歯の周囲の部分に起こるトラブルの名称です。歯のトラブルと聞くと虫歯や歯垢、歯石などが思い浮かびますが、歯周病とは歯そのものではなく、歯を支えている歯肉や歯槽骨の病気です。

歯肉に炎症が起こることを「歯肉炎」と言い、歯肉炎が進行すると「歯周炎」となります。そしてこの歯肉炎と歯周炎の総称を「歯周病」と呼ぶことがありますが、歯周病の中には「歯槽膿漏」も含まれることがあると言われています。歯槽膿漏になってしまうと、顎の骨が溶けてしまったりと大事になります。

歯周病に至るまでの進行の流れ

  1. 唾液や食物が歯に蓄積し、菌膜(ぺリクル)ができる
  2. その菌膜(ぺリクル)に細菌が増殖し、歯垢(プラーク)になる
  3. 歯垢(プラーク)が石灰化し、歯石になる
  4. 歯垢(プラーク)が歯石などの影響による歯肉に炎症が起こると、歯肉炎と言われる病気になる
  5. 炎症が進行していくと、歯肉や歯を支えている歯茎等の組織が破壊され、痛みを感じるようになり、これが歯周炎と呼ばれる段階になる

(出典元:めるてぃんぐぺっと

歯膜と言われるぺリクルは唾液由来の薄い膜で、通常の歯には必ず存在するものです。本来、口内を保護して潤いを保つ役割を担っていますが、時間の経過と共に細菌が発生します。
ぺリクルは歯磨き等で簡単に取れるようなので、適切なケアをしていれば問題ないと言われています。

歯周病の主な症状

歯周病を発症すると以下のような症状が現れます。

  • 歯茎の赤み
  • 強い口臭(腐敗臭)
  • 歯茎からの出血
  • 歯のぐらつき
  • 歯が抜ける
  • 歯が長くなったように見える
  • 食べるのが遅い

実は小型犬に見られる偏食や小食、好き嫌いの原因は歯周病が関係していることもある程です。飼い主さんはただの愛犬の好き嫌いと考えて、ドッグフードを何度も切り替えることがありますが、それでもなかなかドライフードを食べなく、柔らかい缶詰のフードであれば食べるという場合は、実は硬いものを食べると痛みがあることから柔らかいウェットフードを好んで食べているということもあります。
歯周病犬
このような状態は早期に発見し、適切な処置を施してあげないと若いうちに歯がぼろぼろになってしまう危険があります。

歯周病の原因

歯周病を起こす主な原因は、口の中の傷や歯垢です。

犬は本来、歯磨きが必要のない動物です。食事の後は、自分の唾液だけで十分に口内や歯の表面、隙間に残った汚れを洗い流すことができるからです。
しかし、ドッグフードに含まれている添加物の中には、粘着性が非常に強い成分や唾液では洗浄しきれない成分も多々あります。
このような成分が口内や歯の表面に残留することで、食べ物のカスを吸着し、次第に歯垢や歯石になってしまいます。歯垢や歯石が蓄積することで、歯と歯茎の間の空間が塞がれてしまい、結果的には歯茎の血流が悪くなったり、状態が悪化してしまいます。この流れが歯周病口内トラブルの原因なのです。

そして老犬や小型犬は歯周病になりやすいという研究結果が出ているようです。老犬は加齢によって唾液の分泌が少なくなるため、口内洗浄機能が低下し細菌感染への抵抗力も落ちてしまうためと言われています。
また、犬は個体の大きさに関係なく歯の本数が42本と決まっていますが、小型犬は顎が小さく歯がより一層密集している状態であるため、歯磨きがしづらいことから歯周病になりやすいと考えられています。

歯周病の治療

愛犬の口内に異常を感じた際には、早めに動物病院を受診しましょう。素人判断で「まだ大丈夫」と判断してしまうのはとても危険です。

歯周病は犬も人間も同じで、一旦下がってしまった歯茎のラインを元の状態に戻すことはできません。つまり、人工的に歯茎を形成することはできないということです。
治療できることは、これ以上症状を進行させないように食い止めること、現状を維持することになります。実際に歯周病になってしまった時の治療にはどのようなものがあるか見てみましょう。

まずは歯周病の原因となっている歯垢や歯石の除去が行われます。初期段階の歯肉炎であれば毎日の適切な歯磨きで改善できるケースもあるようです。
歯石除去をする場合、一般的に全身麻酔を行って施術されます。これは犬が暴れて怪我をしてしまったり、治療効果が中途半端になってしまわないようにするためです。

また、歯石を柔らかくする生菌剤の他に炎症を抑えるための抗生物質や歯肉炎軽減剤等を投与する投薬治療を行うこともあります。

病院では基本的に「歯をなるべく残す」治療をするようになりますが、症状が進行してしまっている場合には抜歯することもあります。
動物病院
糖尿病等、他の病気が影響して歯周病が引き起こされている場合には、まずそれらの基礎疾患に対する治療が行われます。逆に、歯周病が他の病気を併発している場合も、それらの症状を軽減するような治療が行われます。

歯周病は根治ができない病気なので、日頃から予防をすることを心掛けましょう。

歯周病の予防方法

歯周病を予防するためには、口内を適正な状態に保つことが大切です。以下のことを心掛けておきましょう。

・健康に好ましくない添加物を含むドッグフードを与えない
・定期的に歯磨きをする
・歯磨き効果のあるおもちゃ等を上手に活用する
・歯垢や歯石に付着がある場合は動物病院で除去処置を受ける

歯周病予防には歯磨きが効果的

歯周病を予防するためには歯の表面を衛生的に保つことや、歯茎に適度な刺激を与え血行促進をし、健康な状態に保つことが効果的です。この状態を保つため、そしてぺリクルがプラークになるまでにかかる時間はおおよそ24時間と言われていることから、毎日きちんと正しい歯磨きをすることが最も予防に効果的です。

しかし愛犬に毎日歯磨きをすることは、特に小型犬の場合は難しいと感じることもあるでしょう。ただ、小型犬の場合は歯磨きを数十秒で終えることができ、ほんの一手間なので、ぜひ毎日の習慣化を目指しましょう。

歯磨きの方法

愛犬の歯磨きを習慣化するためには、歯ブラシへの警戒心をなくす・歯ブラシに愛犬の好むペーストを付け、まずは愛犬自身に歯ブラシを噛ませて遊ばせるような工夫をし、愛犬が歯ブラシを美味しいものと認識して、苦手意識を払拭することができたら、次は家族が歯ブラシを持ち軽く歯の表面をこするように動かしてみましょう。

この時、愛犬が嫌がり逃げる場合には無理強いをしないことが重要です。愛犬が嫌がる場合には、飼い主が歯ブラシを持ち愛犬に噛ませておきましょう。嫌がれば手を止める、落ち着いている時は歯の表面をこする、ということを何度か繰り返しているうちに次第に愛犬がおとなしく受け入れてくれるようになります。

歯ブラシの感触自体をなかなか受け入れてくれない場合は、ガーゼを飼い主の指に巻き付けて愛犬の歯の表面、歯と歯茎の境目、歯茎を軽くこすってあげましょう。飼い主の指であれば、愛犬も無暗に噛みつかずスムーズに歯磨きを終えることができる場合もあります。
また、愛犬の歯を磨くとき、つい力が入りすぎてしまい歯茎の表面を傷つけてしまうことがありますが、この点だけは十分に注意し、「表面を軽くこする」という認識でケアをしましょう。

小型犬や短鼻種の場合は、顎が小さいため奥歯まで歯ブラシや指が届かないものです。そのような時は、液体歯磨きや飲料水に混ぜ与えることができる歯磨き製品を活用しましょう。

デンタルケアグッズの使用がおすすめ

毎日の歯磨きと併せて、デンタルケアグッズの使用がおすすめです。

犬用のデンタルケアグッズは、歯磨き効果のあるガム等のおやつや、口内細菌バランスを補正するサプリメント、口腔洗浄スプレー、飲み水に入れることができるマウスウォッシュ等があります。
犬の歯ブラシ
また、普段から缶詰等のウェットタイプの柔らかい食事を与えている場合は、今よりも少し硬いフードに変えてみるのも一つの予防方法です。咀嚼が多くなることで唾液が多く分泌されるので、口内の細菌を洗い流してくれやすくなります。

歯周病とペット保険

歯周病は悪化して歯がぐらつくと自然と抜け落ちてしまったり、抜歯することでまずは口内の状態をリセットしなければならないことがあります。症状が重篤な場合や高齢の場合、全ての歯を抜歯するということもあります。
重篤なケースでは歯周病が悪化したことによって、顎の内側の肉が壊死してしまい頬に穴が開くという悲惨な症例もあります。このような治療には手術だけでなく、術後のケアにも医療費がかさみます。

治療のために機能を失っている歯を抜歯することで、多少は口臭の軽減や細菌の繁殖した歯を取り除くことができますが、その一方で歯がないと舌を口の中にしまうことができなくなり、常に舌が口の外に出たままの状態になってしまいます。
その結果、常に半開きの状態となった口は乾燥して雑菌を体内に取り込み続けてしまいます。次第に咳や呼吸器の病気が気になるようになり、歯や口内のケアはできても今度は別の問題が起こるということになります。

動物病院で行う口内の治療には全身麻酔をすることが一般的で、抜歯や歯石、歯垢の除去、歯周トラブルの治療を行う場合は、小型犬でも平均5万円前後の費用が必要になります。中型犬、大型犬であればその分費用も加算されます。

全身麻酔は安全に治療、処置を行う上では欠かせない処置ですが、高齢犬や肥満犬の場合はこの麻酔処置だけでも命の危険を伴うこともあります。リスクを承知した上で全身麻酔をかけ口内の処置をしても、その後の生活が根本から改善されなければ、その後も数ヵ月、半年と経過した頃にまた元の状態に戻り全身麻酔を繰り返すことにもなります。

歯周病は単なる口臭、歯の変色、年齢による劣化と軽く考えていると、いざ治療をする時に驚くほどに高額な治療費が必要になることがあるのです。高額な医療費という点ではペット保険の適用を考えますが、歯周病や歯石、歯垢の付着は日常的に食事を正しく管理する、歯磨きを習慣化する等の方法で予防が可能な病気であることから、ペット保険の補償対象に含まれないこともあります。

ペット保険に加入する際には、どのような症状が補償の対象となるのかをしっかりと確認しましょう。専門用語が多く理解が難しい場合には、事前に獣医師や保険会社の窓口に相談をして確認しましょう。

高額な治療費の負担は、当然のことながら飼い主にとって大きな負担となる出費です。愛犬が若く健康なうちから以下のことを意識して生活をしましょう。

・食事は添加物を含まない製品を購入する
・定期的に歯磨きをする
・歯磨き効果のある製品を上手に活用する
・定期的に動物病院を受診し、歯や歯周の状態を確認する

異常がある場合、早期に処置をすることで全身麻酔を必要とする重篤なケアではなく、愛犬が覚醒した状態のままで歯の表面をスケラーという先端が尖った医療器具でこするだけで症状を改善できることもあります。

おわりに

歯周病は放置していると顔や顎に穴が開いてしまうことや、心臓等を含む内臓疾患に繋がることもあるとても怖い病気です。

歯石や歯垢の段階で気が付き病院を受診することができれば良いですが、それ以前にやはり毎日の歯磨きが大切であることに変わりありません。愛犬のためにも歯や歯周のケアには日々の習慣化を目指し、徹底してあげましょう。

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