コラム

知って備える!犬のてんかん

この記事は2016年11月16日の記事を再編集しました。

愛犬には健康で長生きして欲しいと望みますが、生きていれば不測の事態に陥ることもあります。特に、犬は犬種によってかかりやすい病気もあるため、健康管理には注意が必要です。

しかし、突然起こり対処ができない病気もあります。その一つが「てんかん」です。てんかんと聞くと人間の病名と考えられがちですが、症例数は少ないものの、実は犬もてんかんの発症が見られます。

てんかんの症状は突発的に激しい発作、けいれんを起こし、中には我を忘れ凶暴さを見せることがあるので、飼い主さんが慌ててしまわないためにも、具体的な症状や対処方法、予防方法について知っておくことで万一の事態に備えることができます。
家族だけでは解決が難しい問題なので、信頼できる獣医師と協力して対処できるように取り組みましょう。

知って備える!犬のてんかん

てんかんの症状と原因

<症状>

犬のてんかん症状は突発的に起こる激しい発作です。発作は昼夜問わず起きますが、たいていの場合は数十秒の短い時間で自然と治まりますが、数十秒で発作が治まらず普段よりも継続時間が長い場合には注意が必要です。また、発作が起こる数日前や数分前には以下のような症状が見られることがありますので、異変を感じた際には注意が必要です。

  • よだれを流す
  • 落ち着きがなくなる
  • 活動性に不自然な増加や減少が見られる

発作を起こしている最中には次のような症状がありますが、発作が治まると途端に何もなかったかのように平然とした状態に戻ります。

  • 全身の硬直
  • ひきつけ
  • 多量のよだれ
  • 目の焦点が合わない
  • 凶暴性が見られる

しかし、症状が重篤化すると次のような症状も見られるようになります。

  • 発作の継続時間が長くなる
  • 発作の頻度が高まる
  • 発作中に大変凶暴な行動をする
  • 大声で泣き叫ぶ
  • 失禁をする

特に中型犬や大型犬の場合、突発的に起こる発作の症状を飼い主がコントロールすることができないこともあるので、サークルへ入れる、隔離できる部屋に入れる等の物理的な対処が必要となります。

<原因>

てんかんは主に脳腫瘍等が引き金となることが多く、脳を形成する神経細胞に異常が発生することによって起こります。

てんかんは「症候性てんかん」と「突発性てんかん」の2タイプに分かれ、犬種によっては「突発性てんかん」を起こしやすい遺伝子を持っていることがあるため注意が必要です。

  • 症候性てんかん
    水頭症や犬ジステンパーによって起こる脳炎が原因
  • 突発性てんかん
    検査をしても異常が分からず原因不明

てんかんを発症する原因の大半は遺伝性の体質とされています。親犬、もしくはその前の世代の犬がてんかんの症状を持っていた場合には、子犬にも引き継がれます。しかし、繁殖の世界ではこのような特性を持つ犬を繁殖に用いることがまだまだ横行しているので、対処が難しいのが現状です。

また、環境的なことが原因でストレスを受け、心身に負担がかかることによっててんかんを発症することもあります。犬は頭が良い動物なのでコミュニケーション不足によって疎外感を感じたり、負担や不安を感じると心身に弊害が起こります。

てんかんの持病があるかどうかの判断は、症状が発症したことで明確になります。そのため、目の前で症状が起きることがなければ繁殖者であっても把握が難しいということもあり、なかなか根絶が難しい問題なのです。

てんかん発作を起こした場合の対処方法

愛犬が突然卒倒して激しいけいれんと全身の硬直を見せた時、思わず飼い主もパニック状態になってしまうでしょう。しかし飼い主が焦り、愛犬を抱き上げたり、激しく揺さぶることはかえって症状が悪化することにも繋がります。
では、突然愛犬がてんかん発作を起こした時に、飼い主はどうしたら良いのでしょうか。

動物病院愛犬が自宅内でてんかん発作を起こした時は、あえて愛犬に手を触れず、周りにある危険物を片づけるようにしましょう。
たとえば、近くにガラス製品がある場合等はすぐに片づけ、割れた破片で愛犬が怪我をすることが無いように注意します。小さな子どもがいる場合には別の部屋へ移動させ、愛犬が咄嗟に起こす凶暴な行為から身を守るようにしましょう。

屋外や散歩中に愛犬が発作を起こした時は、リードを短く持ち、周りへの迷惑がかからないように配慮しましょう。この時、他人や他犬が愛犬に無暗に近寄ることがないように注意が必要です。
発作が完全に収まり、愛犬が落ち着きを取り戻した後もしばらくはリードを短く持ったままで様子を見る、一旦帰宅することが望ましいでしょう。

もし発作中に嘔吐、呼吸が止まる、異常な息づかい等が見られる時は、すぐに動物病院に連絡をし、応急処置の指示を仰ぎつつ病院へ搬送しましょう。往診が可能な場合は、現地に駆けつけてもら方法も良いでしょう。

嘔吐の症状が出ている場合は、気道が詰まる恐れがあり呼吸困難にならないように気道確保をする必要があります。また、口の中に吐瀉物がある場合は取り除く必要がありますが、不用意に指を入れたりすると噛まれてしまうケースがあるので注意しましょう。

てんかんの治療方法

予測不能な突発的な発作に戸惑うてんかんの症状は、現在の動物医療では完治させる方法がありません。一度発症した後は、症状を軽減させ、発作の頻度を抑制するために日常的に薬を飲ませる方法で対処します。

この薬は飲み続けることで症状をコントロールできるので、しばらく発作が起きていないからという理由で薬の服用を止めてしまうと、より症状が深刻化することもあります。
もちろん、薬の服用を止めたからといって発作が起こらないこともあり、てんかんの治療はいつまで続けるのか、どこまで費用を掛けるのか、飼い主さんとしても判断が難しい問題です。

また、動物病院を受診するタイミングでは発作が起きておらず、飼い主さんの口頭説明だけで十分にその程度を伝えきることは難しく、治療の妨げともなっています。こうしたことを少しでも改善させるために、次の行為が必要です。

  • 発作の状況を動画で撮影する
  • 発作の持続時間を計測し、記録する
  • 発作の起きた日時を記録し、その頻度を確認する

このような情報があれば獣医師もよりスムーズに治療に取り組むことができるようになります。

てんかんのような神経に関する症状は、なかなか症例が少なく、獣医師の中にはその治療に戸惑いを感じる方もいます。治療や対処には、神経系の治療経験が豊富な獣医師を探す、専門医の紹介を受ける等、積極的にセカンドオピニオンを活用しましょう。

てんかんの予防方法

診察を受ける犬犬のてんかんは命に係わる危険があるので、原因を知り、予防をすることが大切です。

てんかんの原因は脳に関する部分だけではなく、遺伝や環境等が関わることもあります。そのため、てんかんの持病のある犬を繁殖に用いないことが何よりの予防策とも言われています。

それでも気をつけることと言えば、定期的な健康診断と健康的な生活を心掛けることです。偏食や肥満気味の場合は、食生活を改善して適度な運動させて健康保持をすることが、病気になりにくい身体を作ります。

遺伝に関する問題

ペット業界内でも遺伝によるてんかん問題は重要視されており、てんかんの持病を持つ犬を繁殖に用いないこと・遺伝子データを管理し、てんかんの遺伝子を持つ血統を存続させない等の取り組みが進んでいますが、それでもまだまだ100%大丈夫とは言えない状態です。

ペットショップで子犬を購入する場合、親犬にてんかんの遺伝子があるかどうかの確認はほぼ不可能です。購入者ができることは、衛生的な環境、施設で子犬の販売を行っているペットショップから購入すること・自治体の開業許可を得た正規店舗で購入すること・子犬の健康診断、健康管理、その情報公開を正しく行っている店で購入をする等を基準に考えるのが良いでしょう。

通常相場よりも格段に安価な価格で販売をしている・不衛生な環境で子犬を管理している・十分な知識を持たない店員が販売を行っている・自治体の開業許可を得ていない等の店舗からの購入を控えるだけでもある程度の予防策を講じることができます。
ただし先にも述べた通り、てんかんは発作が起きるかどうかでしか持病の有無を判断できないので、子犬の時点で100%の保障ができないことは承知しておく必要があります。

もし、より確実な予防策を講じるのであれば、ブリーダーの元へ足を運んで親犬世代からの状況を確認するのが良いでしょう。

持病にてんかん、ペット保険に加入はできるの?

動物病院にかかる際の費用は全額自己負担となるので、万一のリスクに備えてペット保険へ加入しておくことも大切です。ペット保険は病気になった際の治療費の一部を補償してくれるので、安心して治療をすることができるようになります。

しかし、てんかんの治療は長期に渡る薬の服用や、度々の通院等、何かと費用がかさむものです。一般的なペット保険では先天性疾患は補償の対象外と定められていますので、てんかんの持病があることが明確となった後でペット保険へ加入することは難しいと考えておきましょう。

また、すでにペット保険へ加入した後にてんかんの発作が起き、通院回数や治療費がかさんだ場合、契約更新後からてんかんに関連した治療費の補償が対象外とされるケースが大半です。
てんかんに関しては治療費の全額を補償してもらえるかは分からないということをしっかりと受け止め、てんかんの治療に経験と実績のある動物病院で的確な治療、処置を受けましょう。

ただし、近年様々な企業からペット保険が発売され、ペット保険が多様化する中で、保険加入前に発症の見られていない病気であれば先天性の要因が考えられる場合であっても補償対象とするサービスもあります。
また、今後も新たなサービスが生まれることは当然考えられます。高額な治療費の支払いに悩む前に積極的に動物病院や保険会社へ相談をしてみましょう。

ペット保険を探そう!
  • Facebookでシェア
  • Twitterでシェア
  • Google+でシェア
  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加