猫の皮膚病!脱毛・かさぶた・臭いがあったら要注意
「愛猫を抱っこして耳に顔を近づけたらなんとも嫌な臭いが…」「皮膚が粉を噴いたようになっていたり、かさぶたが出来ていたりすることが…」「脱毛している…」等の経験はありませんか?
これらは皆、皮膚病の時にも現れる症状です。放置しておくと、どんどん悪化を辿る、もしくは、自然治癒したかに見えても再発を繰り返すようになる場合があります。
人間に感染する場合もありますし、何より猫が辛い思いを続けることになります。
そこで今回は、猫がなりやすい皮膚病と、体のどの部分にどのような症状が出やすいか、また、その治療法と予防方法等についてお話ししたいと思います。
1 皮膚病を疑いたい初期症状3つ
2 猫の皮膚病の主な原因
3 脱毛している場合は?
4 かさぶたができている場合は?
5 くさい臭いがする場合は?
6 部位別に見る皮膚病の症状とは?
7 おわりに
皮膚病を疑いたい初期症状3つ
猫の皮膚病に気付くきっかけは、殆どが猫とのスキンシップの時間だと思います。抱っこしたり、ブラッシングをしたり、もふもふの被毛に顔を近づけてみたり…。そんな時に、もし違和感があったら、そのままにせずに、必ず原因を探してあげてください。
何事もそうですが、万が一皮膚病などの病気だった場合にも、早めに処置すれば軽く済むことが多いのです。
では、どのようなことに気をつけてみれば良いのでしょうか?ここでは猫に多い初期症状を3つご紹介します。
同じところを舐めたり掻いたりしている
ストレスによる場合もありますが、各種アレルギー(食物・ノミダニ・花粉・金属・カビ・ハウスダスト等)や、虫(蚊やノミやダニ等)による吸血などにより、皮膚が痒かったり違和感があったりした場合に、舐めたり足で掻いたりすることがあります。
赤く発疹している
様々なアレルゲン(アレルギー症状の原因になるもの)を触ったり、食べてしまったりした場合に、発疹することがあります。皮膚病の場合の発疹は、その殆どがひどい痒みを伴います。
白いフケや黒い胡麻のようなものがついている
白いフケの場合、新陳代謝による場合も多いのですが、急にたくさんのフケが出るようになった場合や、他の症状(発疹やかさぶた等)が出てきた場合には皮膚病の可能性が高くなります。また、黒い胡麻のようなものがたくさん付いている場合は、ノミの排泄物の可能性が殆どです。
猫の皮膚病の主な原因
皮膚病原因は様々ですが、主に以下のように分けられます。
- ノミやダニなどの外部寄生虫によるもの
- 細菌やウイルス等の感染によるもの
- 食べ物や花粉等アレルギーによるもの
- 自己の免疫によるもの(本来守ってくれるべき免疫が自分を攻撃してしまう症状)
- 他の病気によるもの(副腎皮質機能亢進症や腫瘍など)
- 原因のわからないもの
これらによって引き起こされる皮膚病が進むと、どのような症状が出てくるのでしょうか?また、その治療方法や予防方法とはどのようなものなのでしょうか?次の章以降では、主な3つの症状からみた皮膚病について、ご紹介します。
脱毛している場合は?
耳の後ろや背中、手足、お腹などの一部分、もしくは全身にまだらに出るなど、様々な脱毛のしかたがあります。ケガで脱毛する場合を除き、その殆どは皮膚病、もしくは何らかの別の病気のサインと思って間違いありません。
主な皮膚病「アレルギー性皮膚炎」
ノミやダニ、食べ物、花粉やハウスダスト、金属、カビなどのアレルゲンに皮膚が過剰に反応することで引き起こされます。触る・食べる・吸い込むなどの方法でアレルゲンが体に接触する・取り込まれることで発症します。
治療方法
血液検査などでアレルゲンを特定し、かゆみや炎症があれば、ステロイドや抗ヒスタミン剤等の投与を行います。また、同時にアレルゲンに接触しない、食物の場合には食べないようにすることも必要となります。
予防方法
猫の居住環境を清潔に保つことはもちろん、アレルゲンは猫により違うため、心配があれば、健康診断の時などにアレルゲン検査も依頼すると安心です。万が一、アレルゲンが見つかった場合には、アレルゲンに近づけないことが一番の予防方法となります。
その他の皮膚病
紫外線の刺激が原因の「日光皮膚病」、真菌による「皮膚糸状菌症」、毛穴に寄生する猫ニキビダニが原因の「ニキビダニ症(毛包虫症)」、ツメダニが寄生することが原因の「ツメダニ症」などがあります。
かさぶたができている場合は?
背中、足の付け根やお腹などの皮膚の柔らかい部分、顔や耳など、一箇所~数箇所に及び出来ることのあるかさぶた。これはケガの治る過程でも出来ますが、皮膚病等で皮膚が痒かったり違和感があったりした場合に掻いたり舐めたりすることで皮膚が傷つき、かさぶたになることもあります。
主な皮膚病「脂漏性皮膚炎(脂漏症)」
外部からの細菌や、寄生虫からの防御反応が過剰に働くことで皮脂の分泌が異常になり、かゆみや悪臭を発する脂肪の塊で皮膚がベタベタになったり(油性脂漏症)、逆に乾燥してフケ状のものが多く出たり(乾性脂漏症)する病気です。
治療方法
油性脂漏症の場合は、抗脂漏成分の含まれた薬用シャンプーで体に必要な皮脂を残すように洗浄を行い、同時に細菌や寄生虫など、その原因となっているものに対する治療(駆除剤の塗布や抗生剤の投与など)を行います。
乾性脂漏症の場合は、その多くは栄養不足であるため、不足しているミネラルやビタミンなどを補う他、皮脂を正常化するための薬剤(ステロイド、必須脂肪酸製剤など)やオイルなどを必要に応じて与えます。
予防方法
「猫の居住環境を清潔に保つ」、「栄養が偏らないようにする」という2点が大切です。市販のペットフードを与えている場合には、必ず「総合栄養食」と記載のあるものを与えましょう。
その他の皮膚病
ほぼ、“脱毛している場合”と同じ皮膚病が該当します。
※かさぶたは、皮膚病により自然にかさぶた状のものが出来る場合と、かゆみ等により、舐めたり掻いたりすることで出来る傷や、菌等の拡散が原因の場合があります。
くさい臭いがする場合は?
耳の中からくさい臭いがする、皮膚がなんとなくくさいなど、いつもと違う臭いがする場合にも、皮膚病の可能性があります。主な臭いの原因は、ダニによるもの、皮膚の荒れ・化膿等によるものです。
主な皮膚病「耳ダニ感染症」
体長4mm前後のミミヒゼンダニと呼ばれるダニが耳の中で繁殖することで起こる皮膚病です。猫の耳垢や血液などを栄養源とし、耳垢の元になる成分の分泌を盛んにすることから、耳の中は次第に耳垢とダニの排泄物で埋まっていきます。
症状
耳の奥が黒く汚れて見える・耳が赤くなる・黒い粘性の耳垢が取れる・ひどい痒みがある・痒みにより後ろ足で掻いたりすることで傷が出来、耳周辺に傷やかさぶたが出来る。
治療方法
まずは、外耳の炎症の治療(耳の洗浄、抗生物質や抗炎症の成分の副荒れた点耳薬の塗布)、そしてダニの駆除剤の使用が基本です。多頭飼育の場合には、症状の出ていないペットにもダニの駆除剤の同時使用が必須です。
予防方法
「室内を清潔にする(ダニを繁殖させない)」「耳ダニ感染症の猫との接触をさせない」「猫用のダニの発育妨害剤等を定期的に投与する」などの方法でダニを近づけないことが大切です。
その他の皮膚病
去勢をしていないオス猫に多い、尾腺の皮脂分泌異常で起こる「スタッドテイル症(尾腺炎)」、外部からの防御反応で皮脂の分泌異常が起こる「脂漏性皮膚炎(脂漏症)」などがあります。
部位別に見る皮膚病の症状とは?
皮膚病が出やすい部位とどのような症状が出やすいかをまとめてみました。
- 頭… かさぶた、発疹、かゆみ、脱毛、フケ状のもの
- 耳… かさぶた、発疹、くさい臭い、かゆみ、脱毛
- 首… 発疹、かゆみ、脱毛、フケ状のもの
- 胸… 発疹、かゆみ、脱毛、フケ状のもの
- 背中… かさぶた、発疹、かゆみ、脱毛、フケ状のもの
- 足… 発疹、かゆみ、脱毛(主に内股)
※上記では、出やすい部位を記載していますので、その他の箇所に症状が出る場合もあります。
おわりに
猫の皮膚病を予防するための基本は、清潔な環境を保つことと、偏りのない栄養を取ることです。
けれど、アレルギー性だった場合や、外出も可能にしている場合、多頭飼育している場合、保護猫を迎え入れた場合、その他の疾患の影響による場合など、置かれた環境や原因も様々なため、いつ発症するかは特定できません。
皮膚病になると、ひどいかゆみがあったり、痛みがあったりするために、執拗なグルーミングで病気を悪化させたり、ストレスが溜まって攻撃的になったりするなど、異常行動が見られるようになる場合もあります。
コミュニケーションを取りながらも、早期に異変を察知して、愛猫に辛い思いをさせないよう、日々チェックを欠かさないようにしていきたいものですね。