コラム

猫の習性から学ぶ、爪とぎのしつけと防止策

この記事は2017年6月30日の記事を再編集しました。

猫は爪をとぐ習慣があります。爪をとぐアイテムは様々なものが販売されていますが、猫によっては飼い主さんが用意した爪とぎではなく、他の場所で爪をといでしまう場合もあり、悩まれる飼い主さんも少なくありません。

今回は爪とぎのしつけの方法や防止策を通して、悩みを解決する糸口をご紹介します。

猫の習性から学ぶ、爪とぎのしつけと防止策

猫はなぜ爪とぎをするのか

猫は新品であろうとなかろうとお構いなしに思いもよらない場所で爪をとぎます。壁は傷だらけ、ソファーはボロボロという経験をした飼い主さんもいることでしょう。

爪をとぐという行為は猫の習性であることが分かっていたとしても、なぜ用意した爪とぎマットで爪をとがないんだろう…と疑問を抱いたり、戸惑いを覚えたりします。

しかし、この猫の習性を観察していくことで、問題解決のヒントにつながることもあります。これ以上室内での被害を広げないためにも、猫がなぜ爪をとぐのかもう一度考えてみましょう。

猫が爪をとぐ3つの理由

猫が爪をとぐ理由は大きく分けると3つ挙げられます。

  1. 爪を剥がすため
  2. 猫の爪をよく観察すると、爪が剥がれかけていたり、爪をといだ後の周辺を見渡すと、まるで脱皮したような爪が残っていることを見かけることがあります。

    これは「爪とぎ」等の刺激で爪が剥がれ落ちることにより、新しい爪が現れる構造になっているからです。
    爪を剥がす行為は、いつも新しい鋭利な爪を確保することであり、特に野生の場合は自分の身を守るために必要不可欠な行為なのです。

    野性の猫の爪がボロボロだと、外敵から自分自身を守ることができなかったり、狩りによって食料を確保できなくなってしまったり、上下移動が困難になるため行動範囲が狭まる等、猫にとっては様々な不都合が生じ、それは生死に直結していきます。

  3. マーキング
  4. マーキングも猫の習性の一つで肉球にある臭腺から独自の臭いをだし、爪をとぐことによって、その場所を自分の縄張りである(自分のものである)ことを主張する目的があります。

  5. ストレス発散
  6. 猫の性格に起因しますが、猫はとても繊細で基本的に環境が変化することを苦手としています。見知らぬ人が訪ねくることはもちろん、部屋の模様替え、飼い主の雰囲気がいつもと違うだけでもストレスを感じます。

    また、怒られた時や失敗した時にも爪をとぎます。これもストレスを溜めこまないための行動の一つで「転移行動」と言われ、爪をガリガリととぐことで気持ちの切り替えを行っています。

こうしてみると、爪とぎがいかに猫にとって健全な本能であるかがわかります。無理に止めさせることは、精神衛生的にもいい影響を与えません。本来自由に爪をとぐことは猫にとってストレスのない状況を保てるのです。

しかし、そこら中に爪とぎをさせるわけにはいかない、というのが飼い主さんの心情。それぞれの猫にあう改善方法を探してみることにしましょう。

猫の爪とぎのしつけの方法とは?

もちろん爪とぎのしつけは子猫の時にする方が、短期間で覚える確率は高いのですが、成猫だから無理というわけではありません。愛猫のためにも、焦ることなく根気よくできるまで向き合いましょう。

猫にあった“爪とぎ”を見つける

爪とぎは様々な形状や素材のものがあります。もし、現在設置している爪とぎで全く爪をといでくれない場合は、その猫の好みの爪とぎではない可能性が高いです。

この場合は、形状や素材を変えた爪とぎをいくつか与えてみてをください。また、マタタビやキャットニップ等、猫が好むニオイを爪とぎに付けてみるといいでしょう。

猫が好む場所に設置する

爪とぎの設置場所も考える必要があります。トイレの近くや人の出入りが激しい場所に設置していると猫は嫌がる傾向にあります。そういった場所に爪とぎを設置していると、猫は他の場所で爪をといでしまいます。

爪とぎを数ヵ所に設置してみて、猫が好む場所を見つけてみましょう。

爪とぎする瞬間にキャッチ&移動

爪とぎ以外の場所で爪をとごうとした瞬間、もしくはといでいる最中に、猫を爪とぎのまで移動させる方法です。
何度も根気よく繰り返すことによって、爪とぎで爪をとぐものだと学習してくれます。

叱る&褒める

爪とぎ以外の場所で爪とぎをしていたら、大きな声で「ダメ」等の短い言葉を発して、その場を離れさせるようにし、爪とぎで爪をといだ時は「偉いね」等の言葉をかける方法です。

猫は大きな声を嫌うので、爪とぎ以外の場所で爪をとぐと大声を出されることを学習し、爪をとがなくなります。

ただし、これは爪をといでいる時にのみ有効的な方法です。長々と説教しても効果はありませんし、むしろずっと怒鳴っている飼い主さん自体のことを嫌ってしまう可能性があるので、逆効果です。

猫は、高くてやさしい声を好むので、高い声でやさしく褒めてあげることによって爪とぎの場所を定着させる効果が期待できます。

爪とぎ防止グッズとの併用

今では様々な爪とぎ防止グッズも販売されています。こうしたアイテムと、先に述べたしつけの方法を併用することで効果アップが期待できます。

爪とぎを壁等でさせないための防止策

保護シート

猫が爪をとぎそうな壁や柱に貼ることによって、爪とぎを防止するアイテムです。
保護シートの感触はツルツルしているので、爪をとぐ欲求が薄れる効果が期待できますし、爪をといでしまっても壁や柱が傷になりにくい効果があります。

現在販売されている保護シートは、主に透明と白色のもので、シート自体は吸着タイプトと粘着タイプがあり、砂壁や土壁以外であれば、貼ることができます。

ただし、粘着タイプのシートには強粘着タイプとと弱粘着タイプがあり、賃貸で引っ越し予定がある方や、壁紙からきれいに剥がしたい方は弱粘着シートを選ぶようにすることをおすすめします。

爪とぎ防止スプレー

爪とぎ防止スプレーは主に2種類に分類されます。

  • 猫のフェロモンを利用したもの
  • 猫は頬からフェロモンを分泌しており、慣れ親しんだ場所や物、動物等に頬をこすりつけ、安心と落ち着きを感じることができる特性があります。

    先に述べたように、猫の爪とぎはストレス解消やマーキングの意味を含んでいますので、このスプレーを行うことでその行為が緩和され爪をとがなくなる効果が期待できます。ほとんどの猫が使用10日前後で爪をとがなくなったという実験結果があります。

    しかし、爪とぎの本来の目的は、生存本能に由来していますので、このスプレーをしたとしても、爪とぎ自体は猫が好む場所に設置されていなければ意味がありません。
    つまり、このスプレーは猫が好む爪とぎとお気に入りの場所に設置してあげたうえで併用すると効果が期待できるといえるでしょう。
    なお、このスプレーには猫のストレス緩和や、トイレ以外の場所で排泄してしまった時のしつけにも効果があるそうです。

  • 猫の嫌がる匂いを利用したもの
  • 猫は柑橘系のニオイが苦手です。その特性を利用したスプレーを利用することで爪とぎを回避します。芳香剤とは異なり、拡散されることが少ないので、スプレーした部屋全体が苦手なニオイになってしまうことはなく、ピンポイントの場所で効果を発揮します。

    爪を研ぐ猫保護シートとは違い、階段や椅子の足元、スリッパ等、幅広く使用することができるため、シートと併用することもおすすめです。

    ただし、中にはニオイに慣れてしまう猫もいるようですので、効果ははじめのうちだけという場合もあるようです。
    猫に効果があるうちにしつけが完了するように、使用方法も考えて対策していきましょう。

爪キャップ

爪キャップとは、猫の爪にキャップを被せ、爪とぎをしたとしても傷をつけられないようにする方法です。
使用方法は、猫の爪を切った後にキャップを装着します。猫の爪の性質として爪は剥がれて新しい爪が現れるので、キャップは約一ヶ月程で取れてしまいます。

爪キャップは様々な色があり、一部の飼い主さんの間でファッションとして装着することが一時流行ったこともありました。

しかし、爪とぎにはストレス解消行為でもあるので、キャップによって爪が引っかかることなく滑ってしまうと、ストレスが緩和されることがありません。
そのため、キャップを付けている猫の中には問題行動を起こし始めたり、元気がなくなってしまったりする子もいるようです。

爪キャップは賃貸住宅などで、壁等に傷をつけたくないという事情がある場合に、しつけと並行して短期間で使用することをおすすめします。

その他の方法

「抜爪(ばっそう)」という猫の爪を手術によって取り除く方法があります。アメリカでは常識的な行為として受け入れられている方法ですが、この方法は猫の爪だけではなく、骨の部分からカットするため、世界的には虐待行為とみなされており、先進国の多くは法律や条例で禁止されています。

日本では今のところ規制はありません。しかし、猫にとってはデメリットが多く、術後の痛みはもちろん、ストレスが蓄積する可能性も高いので、抜爪手術は獣医師の間でも賛否が分かれます。

また、感染症や合併症も懸念されており、抜爪手術をした猫の約20%が何らかの問題を抱えているというデータも公表されています。

抜爪以外にも、爪を出すために必要な靭帯を切ることで、爪を出す機能を失う手術もありますが、これも猫にとってはストレス緩和の方法が奪われることに変わりはありませんし、爪は伸びるので、定期的に爪を切る必要があります。

おわりに

子猫の時に家族として迎えることになった場合、子猫の頃にきちんと爪とぎのしつけをしておくと、その後はとても楽になります。もちろん、爪とぎは成猫になってからしつけることも可能です。

また、なぜ猫が爪とぎをするのか、その習性を理解することで、どのような対処をしていったらいいのか、見識も深めることができたと思います。

大切なことは、家族である愛猫にいかに満足のいくQOL(quality of life)を提供できるか、つまり生活の質を向上させ、生きがいや幸福を見出しすことができる環境を維持するためにはどうすべきかを考えてあげることだと思います。

問題行動に対して、どう対処していくことがベストなのか、その最善策を考えることがストレスに弱い猫の健康を維持しつつ、問題の解決へと繋がっていくことになるのです。

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