コラム

猫によく見られる腎臓系の病気がキケンな訳

ネコは、他のペットに比べて腎臓疾患にかかりやすいと言われています。腎臓は病気によって一度機能しなくなると、現段階では完治が難しく、最悪の場合は命に係わる重篤な状態にもなることがあり、これらの病気の内容を知っておくことは早期発見をする意味でも大切です。

今回は、腎臓疾患の種類とその特徴から、どのような病気なのか、どうしてキケンなのかを読み解きます。

猫によく見られる腎臓系の病気がキケンな訳

猫はどうして腎臓疾患になりやすいの?

腎臓の働き

腎臓には、血液を濾過して不必要なものだけを取り除き、再度一定の濃度を保った血液を送り続ける働きがあります。この仕組みは、腎臓のネフロンと呼ばれている部分(糸球体・ボーマンのう・近位細尿管・遠位細尿管・ヘンレループ・集合管)で成り立っています。

ネフロンの量

この、血液の濾過や尿の生成に関わるネフロンの量が、猫は極端に少ないことも、腎臓疾患になりやすいことの一因であると言われています。

猫のネフロンの量は約20万個と、犬の約80万個と比べても4分の1しかありません。ネフロンは一度その機能が失われると現段階では再生できない組織のため、ネフロンが少ない猫は、腎臓疾患にもなりやすいと考えられているのです。ちなみに人間のネフロンの量は約200万個です。

しかし、腎臓の密度とネフロンの数を比較すると、人間も犬も猫もほぼ等しい比率になることが分かっており、この説の賛否の分かれるところとなっています。

猫の先祖と尿の特性

現在ペットとして飼われているイエネコの先祖は、リビアヤマネコ(アフリカヤマネコ)であると言われています。北アメリカや中近東などの砂漠地帯のある西アジアに生息していたこのリビアヤマネコは、水の少ない地域でも生活できるように体も順応していました。

そのため、尿の水分も必要最小限に抑えられ、弱酸性の濃い尿が出ていたのです。しかし、一度そのバランスが崩れると、急性腎不全の原因となる腎臓石ができてしまう要因にもなりました。

イエネコも、この特性を引き継いでいるために腎臓病になりやすいと言われています。しかし、これについても賛否の分かれるところとなっています。

意外と多い!猫の腎臓疾患の種類

腎臓疾患にはさまざまな種類があり、併発する場合、進行することでさらなる腎臓病を招く場合などがありますので、疾患の内容を知ることは重要です。

腎結石

腎結石は腎盂(じんう)という腎臓と尿管を繋ぐ部分に、シュウ酸カルシウムやリン酸カルシウムといった物質が固まって石ができてしまう病気です。

“長毛種よりも短毛種のほうが発症率は高い”、“純血種のほうが発症率は高い”などのデータもあり、一部の腎結石には遺伝の関係も指摘されています。また、尿路感染症で尿がアルカリ性に傾いても、結石ができやすくなります。

腎結石は小さい時には痛みなどの症状が無く、大きくなると急性腎不全など重篤な症状となって現れるため、注意が必要です。

腎盂腎炎(じんうじんえん)

尿路感染症などの細菌感染により、腎盂にまで炎症が波及することにより腎臓全体が機能しなくなる状態が腎盂腎炎です。急性腎盂腎炎と慢性腎盂腎炎がありますが、後者の場合、慢性腎不全に移行することもあります。

多飲多尿・尿が濁ったり臭くなったりする、発熱・食欲不振の他、腰のあたりを触るのを嫌がったり、軽く叩いても痛がったりする傾向の見られる場合もあります。

糸球体腎炎(しきゅうたいじんえん)

血液を正常に保つための“ネフロン”の一部である糸球体に、炎症が起きる病気です。

初期には無自覚のことがほとんどですが、尿検査をすると尿たんぱくの多い傾向が見られます。進行することで、大人しくなる・毛艶が悪くなる・脱水・食欲低下・嘔吐・下痢などの症状も見られるようになり、重篤になると慢性腎不全の症状も見られるようになります。

水腎症(すいじんしょう)

水腎症は、なんらかの原因で尿路や尿管等からの尿の排出が困難になり、腎臓に尿が溜まって膨張するなどの症状がみられる病気です。

腎臓は2つあるため、一つが機能している場合には無自覚のこともありますが、2つとも機能せずに完全に詰まってしまった場合には、腎不全や尿毒症に移行していきます。

チェック項目としては、水腎症にかかると口臭にアンモニア臭が混じったり、お腹を触ると膨張した部分がしこりのように感じたりするようになりますので、日頃のスキンシップ時に確認すると良いでしょう。

腎アミロイドーシス

アミロイドという繊維状のたんぱく質が腎臓に沈着することで、機能を低下させてしまう病気です。腎臓だけでなく、心臓や肝臓、消化管や神経など全身のさまざまな場所に沈着する可能性があり、機能障害に陥らせることがあります。

原因は2つあるようです。体内に慢性的な炎症があると、肝臓からアミロイドが過剰放出されてしまい、これが原因の一つです。
2つ目は遺伝です。アビシニアンやシャム、ソマリ・オリエンタルショートヘア・ボンレックスは遺伝によって腎アミロイドーシスを発症しやすいと言われています。

腎不全

腎不全には急性と慢性があります。どちらも腎臓の機能が失われていく病気ですが、急性の場合には機能低下の症状が急速に進むため、放置することは即、生命の危機に直結します。また、慢性の場合も少しずつ進行することから、進行を遅らせるための治療が必要です。

どちらにしても、腎臓は一度機能が停止すると回復の見込みはないため、早期発見をすることが重要になります。

猫が発症することの多い病気ですので、次の章で、もう少し詳しくお話ししたいと思います。

猫の死因第2位!腎不全

腎不全は、猫の死因の第2位で、高齢になるほどその確率は高くなる傾向にあります。

15歳前後の猫の約3匹に1匹は腎不全(30%)という統計が出ており、同じ統計の8歳前後の猫の発症率(約8%)と比べて、約22%も増えるという結果になっているのです。

この腎不全には、急性と慢性があり、それぞれに特徴があります。

急性腎不全

腎臓自体に感染症や中毒などのダメージを受ける場合、心筋症や腎結石・下部尿路疾患など、他の部位の病気が引き金の場合があり、どちらも急速に腎臓の機能が低下する症状が見られます。

慢性腎不全との違いは、早期発見で適切な治療が叶えば、腎臓の機能が失われる前に処置をすることができるため、回復する可能性があるということです。

症状としては、尿の量が減る・しなくなると少し前までは言われていましたが、現在では逆に多飲多尿になる場合もあることがわかっています。どちらにしても、普段と違う場合には注意してください。また、よだれが出る・アンモニア臭を含んだ口臭がする・吐くなども見られるようになります。

治療方法は、輸血やホルモン剤の投与、血液透析等を通して、脱水を予防し、電解質等のバランスを改善、血液の濾過、尿の排出等を促す処置を、そして腎臓に適した栄養補給(タンパク質以外の栄養)等が挙げられます。なお、急性腎不全を引き起こした原因になった他の疾患があれば、その治療も同時に行うことで効果を高めます。

慢性腎不全

慢性腎不全と判断された猫は、すでに腎臓の機能が50%以上失われた状態になっています。腎臓は機能を一度失うと回復できないため、慢性の場合には、今後、いかに進行を遅らせるかが治療の焦点になります。

また、健康な猫でも高齢化に伴い腎臓の機能は低下していくため、高齢になるほど慢性腎不全は増える傾向にあります。高齢猫の飼い主さんは、特に注意が必要です。

症状ですが、(慢性腎不全になる前段階の慢性腎臓病での)初期の段階では多飲多尿くらいの変化しか見られません。そのため見逃されがちなのですが、確実に腎臓の機能は失われていくことから「サイレント・キラー/沈黙の暗殺者」などとも呼ばれています。
※慢性腎臓病=腎機能が低下している状態、慢性腎不全=腎機能が失われた状態

慢性腎不全になってしまった場合の治療で効果的なのが食事療法です。慢性腎不全のステージ2(腎機能33~25%)・ステージ3(腎機能25~10%)の猫に適切な療法食を与えた場合、余命が2倍以上になるというデータもあります。

しかし、注意点は療養食のみを一生与え続けなければ効果はないという点です。おやつなどをあげてしまっては効果が出ません。そのため、食いつきの変化等で療養食のメーカーなどを変えたい場合にも必ず獣医師への相談が必要になります。

食事療法のみを取ることもあります。多くの場合、腎臓を保護する薬や血中リン濃度を調整する薬、低カリウムの場合には点滴や脱水を防ぐための輸血などを同時に実施しながらの治療となります。

おわりに

猫の腎臓病はなぜ多いのか。さまざまな説は出ているものの、明確な答えは未だに出ていません。しかし、一度腎臓の機能が失われると、現代の医学では完治が不可能であることは、共通した認識となっています。

予防のためには、猫の食事の内容や量・飲み水の量、健康を維持するための運動、ストレスを与えないなど、普段の生活習慣が重要になります。また、早期発見のためにも、健康時の体重・飲食の量・口臭・毛艶・行動などを把握して、スキンシップを通してその変化をみることも大切です。

大切な愛猫のためにも、日頃から小さな変化を見逃さない習慣を身に付けていきたいものですね。

ペット保険を探そう!
  • Facebookでシェア
  • Twitterでシェア
  • Google+でシェア
  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加