コラム

【放置は危険!猫に多い目の病気】~その2:角膜~

大きなビー玉のような瞳が印象的な猫の目は、異変が起こったときに非常に分かりやすい器官のひとつです。病気になった場合、軽度であれば自然治癒することもあるのですが、炎症が起こるとかゆみ等の違和感があるため、多くの場合は猫自身が擦ったり触ったりすることで悪化させてしまいます。

病気に対して正しい知識を持ち、どのような対応をすれば良いのかを知ることは大切です。

今回は目の病気の中でも比較的多い、角膜の病気にはどのような原因や症状があり、どのような治療が行われるのか、またその予防方法等に関してお話ししたいと思います。

【放置は危険!猫に多い目の病気】~その1:眼瞼と結膜~

猫の角膜とは?

黒目の部分(猫の場合、表面に出ている目の殆どの部分)を覆っている膜の名称を「角膜」と言い、体の組織の中で唯一透明な箇所になります。

細かくは4層に分かれており、表面から内部に向けて「角膜上皮」「角膜実質(角膜固有層)」「デスメ膜」「角膜内皮」と呼ばれています。

角膜に痛みを感じることはあるの?

猫の「角膜上皮」には、犬等よりも多い神経幹(しんけいかん)が侵入してきています。そのため、傷や炎症により激しい痛み(疼痛)を感じることがあります。一方で、深部に潰瘍などが出来た場合には、それほど痛みを感じないこともあります。

自然治癒することはあるの?

通常「角膜上皮」は、新陳代謝により常に新しいものを形成しています。そのため、軽い傷などが出来た場合にも、細胞が傷を覆って治癒させる働きをします。

その次の層にあたる「角膜実質」は、角膜の厚み全体の90%を占めている層ですが、そのほとんどがコラーゲン繊維で形成されており、細胞が少ないことから、一度傷つくと治る場合でも相当の時間を要します。

そのさらに奥に位置する薄い層の「デスメ膜」と「角膜内皮」ですが、これは一度損傷を受けると再生することがありません

角膜の病気は、「角膜上皮」から「角膜内皮」に向かって進行することが多いため、早めの処置が出来るか否かで、明暗を分けることもあるのです。

角膜が病気になるとどういった症状が出るの?

角膜の病気では、初期症状として以下の症状のいずれかを見ることが多いです。

      ・目が赤くなる(白目部分の充血)
      ・目やにが出る
      ・目を開けない
      ・目を閉じることが出来ない
      ・目の大きさが異なって見える
      ・涙が止まらない

また、少し進行すると次のような症状も見られる場合があります。

      ・目が腫れている(眼球突出も含む)
      ・目が白濁している
      ・目の一部分が黒や茶色になっている

その他、以下の動作が見られることもあります。

      ・目をしょぼしょぼさせている、または瞬きが多い
      ・目の周りをやたらとグルーミングしている
      ・目を床や壁等に擦りつけている

以上の動作が見られるようになったらよく観察し、おかしいと思ったり目に傷などが見られたりした場合には、速やかに動物病院での診察・治療を受けることをおすすめします。

猫に見られる角膜の病気

角膜炎

角膜に傷が出来ることで炎症を起こす病気を角膜炎と言います。

激しい痛みがあるため、涙目になったり目を開けられなくなったりという症状や、毛細血管が見られる・角膜が白く濁って見える(白濁)など、見た目に変化が表れることもあります。

大きくは、猫同士のケンカやグルーミング等で傷が出来たり、ハウスダストやシャンプーなどの異物が入ったりした時に起こる「外因性/潰瘍性角膜炎」と、感染症やアレルギー、他の病気により併発してしまう「内因性/非潰瘍性角膜炎」に分けられます。

いずれにせよ、早期の治療が肝心で、重篤化すると角膜潰瘍に発展したり失明したりする危険もありますので、楽観は禁物です。

治療方法

エリザベスカラーを付けた猫通常は、原因を見極めた後、異物等を取り除き、洗浄・点眼治療(角膜の再生を促す薬等)などを行います。感染が原因の場合であれば、抗生物質などの投与も合わせて行います。

また、目を擦ることの無いように、エリザベスカラー(首に付ける大きな襟状のもので、顔を手足から保護するグッズ)をつけることもあります。

予防方法

ウイルス性の場合には、予防接種が有効です。外因性の場合には、ケガの防止・ハウスダストや花粉などを残さないように掃除すること等で、目に傷が付いたり、異物が入ったりすることを防ぎましょう。

角膜潰瘍

角膜潰瘍は、難治性(治りにくい病気)で角膜深部にまで達することも多く、角膜が壊死を起こして欠損、角膜が白濁して膨張、穴が開いて眼球内部の組織が漏れ出して失明などの症状も出る怖い病気です。

原因は角膜炎と同じく、感染や外傷などにより起こります。角膜炎が重篤化してなる場合も多く、角膜炎の症状から数時間ほどで角膜潰瘍に移行することもあるので、注意が必要です。

治療方法

潰瘍が角膜層のどこにまで達しているかにより、治療方法が異なります。初期の段階では、洗浄・点眼での治療が一般的です。場合によっては、動物用のコンタクトレンズを入れることもあります。
また、感染の場合には、抗ウイルス剤や抗生物質などの投与(点眼や内服)も同時に行います。

しかし、深部にまで潰瘍が達している場合には、外科的手術が必要になることもあります。治療のための手術方法としては、結膜や瞬膜(第3眼瞼)、コラーゲンで出来たコンタクトレンズ等をフラップ(蓋のようなもの)として被せる方法、角膜移植などが挙げられます。

なお、ドライアイが原因で重篤化することもあるため、ドライアイがあればその治療も同時に行う必要があります。

予防方法

角膜に傷を付けることのない環境を整えること、感染が原因の場合は、ウイルスの予防接種を受けることで予防が可能です。また、ストレスの多い環境も免疫低下を招き、感染しやすくなることから、ストレスフリーの環境を作ることも大切です。

角膜黒色壊死症(角膜分離症・角膜代謝異常症)

猫特有の病気と言われている「角膜黒色壊死症」は、角膜を形成するコラーゲン繊維が茶色~黒色になり壊死してしまう病気です。そのままにしておくと、壊死した部分が剥がれ落ちることから「角膜分離症」と呼ばれることもあります。

原因は不明ですが、猫風邪とよばれる「上部気道感染症(ヘルペスウイルス感染症やカリシウイルス感染症など)」にかかった猫が併発することが多い病気のため、その感染が関係していると見られています。

特定猫種に限定した病気ではありませんが、特にペルシャやヒマラヤンに症例が多いことが知られています。

治療方法

軽い症状の場合には、角膜再生や保護を目的とした薬の投与や、炎症を抑えるための点眼、感染症を治すための内科的治療をしつつ、壊死した部分が自然に剥がれることを待つ方法が取られることもあります。

しかし、角質層の深い部分まで進行していて痛みを伴う場合には、外科的手術をして、壊死部分を切除したり、フラップ(角膜を覆うための透明な蓋状のもの)をつけたりすることもあります。

予防方法

あくびをする猫原因として考えられる、「上部気道感染症」に感染しないようにすることが一番です。ウイルスの予防接種はもとより、病気の猫との接触をしないようにしたり、室内を清潔に保つこと、ウイルスの活動が鈍くなる湿度60%程度を保ったりなどを徹底することで避けられる確率は上がります。

また、ストレス等で免疫低下すると感染率が上がることから、ストレスフリーな環境を作ってあげることも大切です。

おわりに

角膜の病気は、住居環境を清潔に保つ、病気の猫を近づけない、予防接種を受ける等、普段から気をつけることで随分防げることが分かりました。

外因性の場合は、主に角膜を傷つける行為が発端となり病気に進展することが多いので、爪切りを適度に行うことも大事です。

軽度なら点眼で治ることもある角膜の病気ですが、透明部分に白濁が残ってしまうこともあります。また、放置により進行すると失明に至ることもあります。おかしいと気付いたら、すぐに動物病院に行くように心掛けましょう。

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