コラム

【放置は危険!猫に多い目の病気】~その1:眼瞼と結膜~

「猫の顔がなんだかおかしい。よく見ると、目が腫れているみたい」「目の大きさが違っている…」。猫を飼っている方なら一度や二度、そんな経験があると思います。

涙などの自浄作用で事なきを得る場合もあるので、まずは様子を見る、というご家庭も多いのではないでしょうか。けれど、中には放置している間に悪化の一途を辿り、失明目の摘出をすることになってしまったという例もあるのです。

そこで、2回に分けて、猫の目の病気にはどのような症状があり、どのような危険が潜んでいるのか、そして、病気にならないためにはどうすれば良いかなどについてレクチャーして行きたいと思います。

今回は、その1回目。眼瞼結膜に関しての病気についてのお話です。

【放置は危険!猫に多い目の病気】~その1:眼瞼と結膜~

猫の眼瞼と結膜とは?

眼瞼

眼瞼(がんけん)というと難しく聞こえてしまいますが、これは眼球を保護するために作られた、上下に開閉する皮膚、すなわち、瞼(まぶた)のことです。

猫の場合、上瞼・下瞼の他に、第三眼瞼(第三の瞼)と呼ばれる“瞬膜”があります。通常はあまり見ることは無いかもしれませんが、寝ぼけている時などに、白く、水平方向に閉じる膜が現れることがあります。これが瞬膜です。

結膜

結膜とは、瞼の裏(内側)を覆い、眼球の白目の部分を覆っている強膜と呼ばれる膜の、さらに外側も覆うようにして繋がっている膜のことです。瞼と眼球を結ぶ組織として機能している他、粘膜として、眼球の表面を潤す役目もしています。

眼瞼と結膜が病気になるとどういった症状が出るの?

眼瞼・結膜に限ったことではありませんが、目の病気になると、以下の症状のいずれかにあたることが多いです。

      ・目が赤くなる(特に白目部分が分かりやすい)
      ・目やにが出る
      ・目が開かない
      ・目を閉じることが出来ない
      ・目の大きさが異なって見える
      ・涙が止まらない
      ・目が腫れている

また、以下の動作が見られることもあります。

      ・目をしょぼしょぼさせている、または瞬きが多い
      ・目の周りをやたらとグルーミングしている
      ・目を床や壁等に擦りつけている

以上の動作が見られるようになったらよく観察し、何らかの症状が見られた場合には、速やかに動物病院での診察・治療を受けることをおすすめします。

猫に見られる眼瞼や結膜の病気

猫の眼瞼と結膜の病気には、主に以下のものがあります。

眼瞼コロボーマ(眼底欠損症)

これは先天性の病気で、胎児の時に形成されるはずの眼瞼の一部が欠損したまま生まれてしまうことで起こります。

重度の症状のある猫の場合、健康な猫とは明らかに異なった外見(目の形)をしており、目が閉じられずに眼球が乾燥してしまうなどの症状が見られる場合もあります。

しかし、軽度の場合は、生まれて間もなくは変異を感じることがなく、少し大きくなってきて初めてわかる場合もあります。

欠損により被毛が目に入り、結膜炎や角膜炎、涙腺症などを起こす場合もあるので、おかしいと気付いた時点で、診察を受けることをおすすめします。

治療方法

被毛が目に入る場合には、レーザーや凍結方法による脱毛、上眼瞼が欠損し、目を閉じられない場合には、下眼瞼の皮膚を移植する手術など、生活に支障のある場合には、外科的処置が必要になります。

予防方法

残念ながら先天性の病気のため、予防方法は存在しません。しかし、軽度の場合もいずれは外見上に変化が見られるようになりますので、日頃から猫の動作や表情に注意を向けるようにしましょう。

眼瞼内反症

眼瞼の縁が眼球側に反ってしまうことで、まつげが眼球に当たり、痛みやかゆみ、眼瞼の痙攣、炎症などを引き起こす病気です。涙が止まらない、目やにが出るなどの症状も出ます。「眼瞼コロボーマ」でも、同じ症状の出ることがあります。

原因としては、先天性の場合は、目の切れ目(眼瞼裂)が小さすぎる、反対に大きすぎることにより、生まれつき、または成長すると共に症状が出てくる場合があります。

後天的な例では、逆さまつげによるもの、ケガや感染によるもの、加齢による皮膚のたるみ、眼球の萎縮、眼球の周囲を取り巻く脂肪組織の減少によるものなどが考えられます。

治療方法

軽度の場合には、まつ毛の脱毛と抗生物質等の含まれた軟膏などの塗布で様子を見ることもあります。

しかし、多くの場合は、眼瞼の縁から2mm位外側の位置を切開して余剰な皮膚を切除、眼瞼を外側に引っ張るような形で皮膚を縫い合わせて、内反したところを正常な位置に戻す手術を行います。

また、成長時期に手術をすることになった場合には、その後また皮膚が伸びて内反する可能性もあるため、目の周囲の皮膚を仮縫合する手術をし、成長が終わってから再手術する場合もあります。

予防方法

ケガや感染症にかかることのないように注意する、また、雄猫の場合は、去勢することで成長とともに発達する頬骨の横伸びが抑えられる等の方法があります。

老化、その他の場合には、確たる予防方法はありませんが、猫が目を気にして目の周囲を執拗にグルーミングしたり擦りつけたりする動作が見られないかなどを観察し、早期に発見することが、痛さ等の苦しみを長引かせないことに繋がります。

眼瞼腫瘍

眼瞼や第三眼瞼に腫瘍(異常増殖する細胞が集合したもので良性と悪性がある)ができる病気です。猫の場合、60%以上が悪性腫瘍の「扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)」、その次に多いのは良性腫瘍の「肥満細胞腫(MCT)」です。

腫瘍というと、最初はイボのような小さな隆起が見られ、それが大きくなってくるのでは?と思いがちですが、皮膚に擦り傷のような赤み等が見られる場合のみの場合もあります。傷であればそのうちに治りますが、腫瘍の場合には悪化を辿ります。

治療方法

良性・悪性、どちらの場合も外科的手術にて切除する方法が一般的で、その他、薬物等による治療が行われることもあります。「肥満細胞腫」の場合は多発性(体の他の箇所にも発生)でない限り、予後は良好のことが多い病気です。

しかし、多発性であったり、扁平上皮癌等のガンであったりした場合には、予後は良好とは言えない場合も多いため、早期発見がカギを握ります。

予防方法

「肥満細胞腫」は肥満という名称がついていますが、肥満だからなりやすいという訳ではありません。シニアになるほどなりやすい傾向にあります。

「扁平上皮癌」等の悪性腫瘍に関しては、はっきりとした原因がつかめないことも多いのですが、白系の猫の被毛から地肌が透けて見える部分に発症し易いことから、紫外線が影響しているとも考えられています。

また、受動喫煙(煙草の煙を吸ってしまう)やスモッグ、化学薬品の吸い込みなどが続く場合もなりやすいとされています。

予防としては、煙草を猫の生活する空間で吸わない、空気をきれいにしておく(空気清浄機などの活用)、早期発見のため、普段から小さな変化に気付けるようにしておくことが大切です。

結膜炎

猫の目の病気で一番多いのが結膜炎で、再発や慢性化することも多い病気です。

結膜に炎症が起こり、白目が充血する、瞬きが多くなる、涙が止まらない等の軽度の症状から、進行してくると眼球の腫れ、化膿、結膜が異常増殖することで上下の眼瞼がくっついて目が開けられない(癒着)、瞬膜が赤く大きく腫れて目の表面に突出する(チェリーアイ)、などの症状が出ます。また、放置することで失明することもあります。

原因としては、ゴミなどの異物が目に入る、ウイルスや細菌への感染、結膜炎以外の疾患から結膜炎を併発することなどが考えられます。

治療方法

まずは、目とその周りを洗浄し、異物があれば取り除き、抗生物質等を含んだ点眼薬や軟膏を継続して使用することで炎症を抑えます。癒着が見られる場合には、外科的手術で結膜を切除、剥離させる他、増殖を抑える薬や抗生物質等の投与も行います。また、ウイルスや細菌が原因であれば、感染症の治療も並行して行います。

予防方法

ウイルスや細菌からの感染を防御するには、予防接種が有効です。また、ハウスダスト等が目に入らないように、住空間を清潔に保つことも大切です。

おわりに

猫が目の病気になると、点眼などは飼い主さんが家でも施す形になることが多く、それを嫌がる猫との間に溝ができたり、ストレスが重なって他の症状(心的なものを含む)が出たりすることもあって厄介です。

また、手術することになった場合、手術費用や入院費、その後の薬代や通院費用などで数万円~数十万円の出費となる場合もあります。

愛猫も、大切な家族の一員です。予防に努めることはもとより、ペット保険の加入なども視野にいれて、万が一の時には、金銭的なことを考えずに治療に当たれるようにしていきたいものですね。

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