コラム

大型犬は胃拡張と腸捻転に要注意!

この記事は2016年4月27日の記事を再編集しました。

さっきまで元気に食事をしていた愛犬が、食後に激しく苦しみ出し、七転八倒の状態に急変することがあります。あまりに突然の出来事なので、家族も慌てふためきますが、これは「胃拡張、腸捻転」という突発的な病気によるものと考えられます。

胃拡張や腸捻転は大型犬によく見られる病気で、体質的に繰り返し起こすこともあります。また、中型犬や小型犬であっても起こすことのある病気ですので、日頃から注意が必要になります。

大型犬は胃拡張と腸捻転に要注意!

胃拡張とは

胃拡張は急激に胃が膨張することによって突発的に起こる病気です。お腹がどのくらい膨れた状態からを胃拡張と判断するのか、見た目では判断することが難しく、気付いたときには病状が進行しているケースもあります。
人間の胃拡張は大した病気に感じませんが、そもそもの身体が小さい動物たちにとっては命に係わる非常に深刻な病気です。

胃拡張は、主にドライフードを食べている犬に多く見られる病気です。
ドライフードは製造工程で含有水分量を10%未満にまで減少させている、ほぼ完全な乾燥状態となります。これを犬が食べることで胃の中で胃液を吸収し、数倍にまで膨張します。ドライフードを水でふやかした時に、元の分量の数倍に膨らむ状態が犬の胃の中で再現されている状態です。

この状態は、「しぼんだ風船を急激に膨らませた状態」や「真空パックされた容器を開封した直後の状態」に似ています。

一般的なドライフードは、水分を含むと3~5倍に膨張します。飼い主が容器に入れて与えた分量の3~5倍量となると、小型犬であればお腹がはちきれる程に膨らむということです。この急激な膨張状態を胃拡張と呼びます。

胃拡張のメカニズム

胃拡張は胃の中にガスが溜まり膨張し、他の臓器や横隔膜を圧迫することで呼吸困難を引き起こします。呼吸困難が起こると命の危険に晒されます。

胃拡張を発症した時の症状

胃拡張の症状は、食後30分以内程で起こります。これは体内に取り込んだドライフードが水分を吸収して膨張するまでの所要時間です。突発的なものでない典型の場合は、食後2~6時間後に腹部が拡大膨張します。

胃拡張を起こしている時は、以下のような症状が見られ、苦痛を訴える行動が目立ちます。

      ・腹部が大きく膨張している
      ・苦しみを訴えるような行動、表情
      ・過剰なよだれ
      ・荒い息づかい
      ・嘔吐をしようとする姿勢、行動(嘔吐しようとしているのに何も吐き出すことがないのが特徴的)
      ・落ち着きがなく動き回る
      ・突然倒れ込む、しゃがみこむ
      ・お腹を触らせない、触らせてくれない

注意

症状が軽度であれば、犬自身が嘔吐することで症状をやわらげることができます。しかし、うずくまり動かなくなったり、呼吸が絶え絶えになったり、歯茎の色が紫色になり目つきがよどんでくる、さらに腹部膨張がひどくなると膨らんだ風船のように360度回転できる程になってしまうこともありますので、即座に動物病院へ搬送する必要があります。

特に、歯茎の色が紫色、青色、泥色のように変色し始めている場合には、既に呼吸困難に陥っている可能性が高く重篤なサインなので見逃さないようにしましょう。

胃拡張を発症しやすい犬種

胃拡張を起こしやすい犬種の代表的なものは、グレートデーン・ジャーマンシェパード・ドーベルマンが挙げられます。これらの犬種は、非常に胸が深い骨格をしているので、日常的な食事でも胃拡張を発症することがあります。

その他、フレンチブルドッグ・パグ・ビーグル・ダックスフントのように活発で非常に食欲が旺盛な犬にもこの症状は多発しがちです。また、純血種は混合種(ミックス犬)よりも胃拡張を起こしやすいとされているので注意が必要です。

そしてメス犬よりもオス犬のほうが胃拡張を起こしやすく、年齢で見ると平均2~10歳の間に発症するケースが多いのが特徴です。

食事の際には注意と工夫が必要

胃拡張を起こしやすい犬種に食事を与える時は、急激な胃の膨張を予防するためにも以下のような工夫が必要です。

  • ドライフードは事前にふやかした状態で与える
  • 少量を複数回に分けて与える
  • 食後1時間程は運動をさせず、ハウスやケージ内で安静に過ごさせる

これまで胃拡張は特定の犬種特有の症状とされていましたが、最近では小型犬にも発症数が増えており、その理由は飼い主の知識不足が原因であることが多いです。

  • ドライフードを与える分量が多すぎる
  • 食後すぐに散歩に連れ出している
  • 食後すぐに激しく遊ばせる

小型犬へドッグフードを与える時の分量は、あまりに少なく思えてしまい飼い主がついつい与えすぎてしまいがちです。しかし、最近のドッグフードは非常に栄養価が高く、少量でも十分な栄養素を摂取できるように高品質化されているので、見た目の分量が物足りなく感じても、分量を増やす必要はありません。
また、食事を与える手間が面倒だからと、1日分の摂取量を一度に与えてしまうと、急激な胃の膨張を招くので大変危険です。

同時に起こりやすい腸捻転とは

胃が急激に膨張して胃拡張が起きた時、同時に腸が捻じれてしまう「腸捻転」という病気も発症することが度々あります。※必ずしも併発するわけではありません。
胃拡張だけの症状であればサークル等に入れしばらく安静にさせることで回復に向かうことがありますが、この腸捻転を発症してしまうと自宅では処置ができず、すぐに動物病院へ搬送して手術等が必要となります。

腸捻転は以下のような状態が体内で起こり、犬自身にも相当な苦痛があるため苦しみもがきます。

      ・急激に胃が膨張したことで風船のような状態となり、捻じれる
      ・捻じれたことで腸への道が塞がれてしまう
      ・道が塞がれたことで胃の中の空気や消化途中の食べ物、水分が胃の中から腸へ移動できなくなる
      ・同時に血管が塞がれてしまい胃への血液供給が停止する
      ・血液供給が十分にされない状態が続き、次第に胃の組織が壊死し始める

捻じれを伴わない軽度の胃拡張は、数分から数時間持続しますが、捻じれを伴った場合には胃拡張の状態から数分でショック症状へ進行します。このような状態では飼い主が抱きかかえる、落ち着かせる、安静にさせるという程度では改善はできません。
軽度であれば命を落とすリスクは低いですが、自然に改善されない可能性が高いので、どちらにしても迅速な動物病院の受診が必須と言えます。

胃腸捻転の症状と治療方法

胃腸捻転を起こすと、嘔吐をしたくても胃の内容物を吐き出すことができなくなってしまいます。血管が圧迫されて吐きたくても吐けない状態となります。
さらに症状が進行して胃への血液循環不良が起こると、胃の組織が壊れて胃が破裂し、腹膜炎を起こし致命的となります。

腸捻転が起こる前段の場合、胃の中へチューブ等を挿入してガス抜きを行いますが、発症してしまった場合には動物病院で開腹手術を受ける必要があります。
開腹して捻じれた部分を治し、再度傷口を縫合します。傷口が完治するまでには数週間かかることもあり、その間は再発を予防するために食事にも十分注意が必要です。

一般的に開腹を必要とする手術の場合、治療費は30万円ほどが相場ですが、手術費用にプラスして、その後の入院費用、服薬費用、抜糸や通院費が加算されることを考えると50万円を超えることも珍しくありません。

腸捻転の症状は突発的に起こる上に、手術の有無を即座に判断しなければなりません。他の病気のように家族でじっくりと相談をする時間的な余裕はなく、愛犬の命を救うかどうかの判断をその場で迫られるのです。

愛犬が若く健康なうちは、病気の心配もなく動物病院とは疎遠だと考えがちですが、このような突発的な事態が起きたとき、高額な医療費の工面をどうするのか、このような事態が起こり得ることを日頃から気にかけ、ペット保険等で備えておく必要があります。

食胃拡張、腸捻転の予防と対策

胃拡張を起こしやすいとされる犬種はもちろんのこと、小型犬や子犬でも食後の急変が無いとは言えないので、必ず食後一時間程は様子を見てあげられるように生活スケジュールを考えておきましょう。

胃拡張や腸捻転を予防するためには以下のような点をしっかり守りましょう。

  • ドライフードは予めふやかした状態で与える
  • 食事は1日分量を3~5回、もしくはそれ以上に小分けにして与える
  • 必要以上の大粒なドッグフードを与えない
  • 野菜など、水分量の多い食材をトッピングする時は小さく刻んで与える
  • 食事はサークル内で与え、食後30分~1時間程はサークル内で静かに過ごさせる
  • 散歩は食事を与える前に済ませておく(食後の散歩は1時間以上経過してから行う)
  • 過剰に勢いよく食事をする犬の場合、知育玩具や早食い防止効果のある食器等を活用して、一気食いを予防する

食事中や食後に大量の水を飲ませないようにすることも必要です。ドライフードは喉が渇きやすく、大量に水を飲んでしますので、ドライフード等の乾燥食品を与える際は予め水に浸して水分摂取による胃の膨張を抑制しましょう。また、チーズ等の塩分が多い食品も水を欲しがるようになるので注意が必要です。

多頭飼いをしている場合、食事の際は個々のサークルに入れる、もしくは別部屋に1頭ずつ移動させて、それぞれが落ち着いた状態で食事ができること、他犬の分まで食べてしまわないことを注意して管理しましょう。

生後間もない子犬は、食事の直後に元気いっぱい走り出すことがあります。食事直後の過度な運動は腸捻転を引き起こす危険があるので、生後一年を迎える頃まではサークル内で食事を済ませ、食後はゆっくり過ごせるように工夫してあげましょう。

日々これらの点に注意をしていても、ある日突然腸捻転の症状が起こることもあります。腸捻転は気づかずに放置してしまうと、愛犬が死に至る大変危険な病気です。
愛犬を残して仕事や外出で家を留守にする場合は、必ず外出の1時間以上前に食事を終わらせてあげましょう。もし目の前で症状が起きた時には、すぐに動物病院に連絡をし、緊急対応を依頼しましょう。

ストレス発散、運動で予防

不安を強く感じたり、精神的に弱い性格の犬に胃拡張は多く発症する傾向が見られます。愛犬がストレスを溜めてしまわないように、普段から運動や遊びでストレス発散ができるようにしてあげましょう。

運動をさせる時には、食後2時間は避けるようにしましょう。日頃から運動をさせることで、胃腸の運動も促すことができます。

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