コラム

殺処分ゼロへ!保護犬や猫とペットショップの未来

この記事は2017年2月28日の記事を再編集しました。

犬や猫の殺処分ゼロを目指す自治体が増えてはきておりますが、未だに殺処分がなくなりません。ペットショップに代表される生体販売を取り扱う事業者をなくせば殺処分が減るという意見もありますが、実際はどうなのでしょうか?

保護動物とペットショップ等のこれからと、今後増えるであろう保護動物のペット保険への加入についてまとめました。

殺処分ゼロへ!保護犬や猫とペットショップの未来

動物愛護法改正による殺処分の変化

平成24年に動物愛護法が改正されたことにより、生体販売をするペットショップや、販売目的で動物繁殖をするブリーダー等に対する規制がかつてより強化されました。

法改正で変わったこと

法改正で変わったことの一つに、それまでペットショップで売れ残った犬や猫も保健所の引き取り対象になっていましたが、改正後は売れ残った犬や猫も「終生飼養の確保」、つまり「寿命が来るまできちんと飼育しなければならない」と改正され、保健所側で引き取りを拒否することができるようになったことです。

このことにより、販売目的でこの世に生を受けた愛玩動物が、安易に殺処分されてしまうといった、人間の身勝手な命のやり取りが減少しました。

環境省発表の殺処分数

環境省が保健所等、行政機関に保護される(引き取られる)犬猫の数と殺処分の数を毎年発表しています。「犬・猫の引き取り及び負傷動物の収容状況」の統計を見てみました。

平成16年度に約41.8万頭(そのうち殺処分は、39.5万頭)だった引き取りは、平成20年度には、約31.5万頭(殺処分、26.6万頭)、愛護法が改正された24年度には、約20.9万頭(殺処分数、16.1万頭)そして28年度には約11.3万頭弱(殺処分、5.5万頭)となりました。

こうして見ると、毎年の推移だけでも確実に殺処分される犬や猫が少なくなってきているのが分かります。これには行政と動物愛護団体などが連携し、命を守る活動をしていることが大きく関係していますが、それでも殺処分が無くなるまでには至っていません。

ペットショップの問題

ペットショップは、透明なガラスで仕切られた囲いの中に、生後間もない人気のペットが陳列され、あどけない顔で出迎えてくれるイメージがあります。実際に見に行くと、その愛らしさにに思わず、「迎え入れたい」という衝動に駆られてしまいますね。

ペットショップに陳列される子犬・子猫はどこからくるのか

子犬や子猫たちは、どこからペットショップへやってくるのでしょうか。ほとんどの場合が以下のような方法となります。

  1. 提携しているブリーダー(繁殖業者)からの買い付け
  2. せり市やオークションといった形態での買い付け
  3. 中間業者からの買い付け

ここで問題になっていることは主に2つあります。
一つは、せり市などではペットが段ボール箱で管理されるなど、モノとして扱われている点です。そしてもう一つは一部のブリーダーや中間業者によって、ペット達が劣悪な環境に置かれていることです。

ペットショップで人気がある犬や猫は、血統書付きの純血種か、親がドッグショーやキャットショーで賞を獲得しているような犬や猫です。
こういったことから、なかには産後休む間もなく繁殖させられ、母子ともに弱っていることや、近親交配の結果、表面化していない病気や遺伝的問題を抱えていることもあります。

この他、日本では子犬や子猫など、生まれて日の浅いペットが好まれる傾向にあることも問題の一つです。
愛護法によって、親と兄弟を引き離し、販売目的の展示など行うことが出来ない期間はあるものの(社会性を身に付けるための期間)、その期間を過ぎるとすぐにペットショップに陳列されてしまっているのが現状です。

最大の問題

最大の問題は、ペットを販売する際に、購入者がペットを飼う資質があるかどうかのチェックが実質上できないことにあります。

終生飼育が義務付けられているにも関わらず、ごく一部ではありますが、ペットの飼い方や生涯にかかる費用を理解していないまま購入し、しつけに手間取ったり、病気になったり、引っ越しをする等といったことを理由に、安易に保健所へ引き取ってもらおうとしたり、中にはこっそりと捨ててしまう飼い主がいるのです。

ペットショップ以外で譲り受ける方法

「保護犬・保護猫」というのは、保健所や愛護センター等の行政機関で保護されたペットだけではなく、民間の団体や個人が保護した犬や猫も含まれます。

保護犬や保護猫は、一部保護主によって終生飼育される場合もありますが、多くの場合、既に保護主は多頭飼育をしており、必ずしも保護主が飼育できるとは限らないのが実情です。

そのため「譲渡会」といった名称で新しい飼い主を探す活動や、WEB上の「里親募集掲示板」等で飼い主を募る活動をしている個人や行政、民間団体が全国に数多く存在しています。

ペットショップで買うのではなく、こういったところからペットを譲り受けることが可能ですが、ペットを譲り受けるために色々な条件を設けているケースがほとんどです。
譲渡方式の多くは、譲渡を希望する飼い主候補が本当に終生飼育ができるのか、審査のようなものを行います。
譲渡主によって審査方法は様々ですが、具体的には、譲渡を希望する候補者の家へ行き、飼育をするための環境が整っているかを判断したり、お試し期間を設けたり、譲渡後もペットの飼育状況の報告を義務付ける等があります。

譲渡を希望する側からすると、家に来られることは面倒だと感じてしまうこともあるかもしれませんが、譲渡前にきちんと譲渡主さんがペットの検診をほとんど受けさせているので、事前にペットの健康状態を把握することができたり、お試し期間を設けて、ペットの性格を知ることができる等のメリットがあります。
もちろん、譲渡主さんへ飼うにあたっての質問や、飼ってからの困ったことを相談することもできます。

何より、殺処分される運命だったペットの命を救うことができるのは大きな貢献です。ペットをこれから飼おうと考えている方は、ぜひ保護犬や保護猫の譲渡を受けることも考えて欲しいと思います。

保護犬・保護猫を引き取るときに確認したいこと

ペットの里親制度や動物保護団体の多くは、ボランティアによって運営されています。そのため、保護した動物の管理状況、生活環境、病気や既往症の管理把握は、団体によってその程度が大きく異なります。

里親として引き取る前には、以下のことを確認しておきましょう。

  • 健康状態の確認
  • 多くの場合、保護主によって健康状態の管理を行われていると思いますが、管理がされていない場合には、引き取り前に動物病院を受診し、血液検査を受けるようにしましょう。
    フィラリアの感染、アレルギーの有無、心臓等の内臓機能の疾患、中には突発的な発作を引き起こす持病があることもあります。

  • 持病がある場合は、今後の治療費を確認
  • 保護犬、保護猫の中には、高齢にに差し掛かり、何らかの病気や不調を抱えていることも少なくありません。この場合、引き取り後の終生飼育に、どの程度の治療費が予想されるか、悪化した際の手術費用等を事前に確認しておきましょう。

    年齢がある程度若ければ、まだペット保険へ加入することもできますが、高齢となると新規でペット保険へ加入することが難しくなり、ペット保険がない場合には治療費の全額を飼い主さんが負担することになります。
    自身の経済状況も考え、飼育費用以外に発生する治療費の負担を無理なくまかなえるか考えましょう。

  • 100%健康体とは限りません
  • 保護犬、保護猫だけでなく、ペットショップから購入する動物でも、100%健康体であるとは言い切れません。加齢と共に、必ず何かしらの病気や不調を発症します。

    ペットの処分病気の発症は事前に予測することが難しいため、里親として引き取った直後に病気が見つかるというケースもあります。
    このような時、想定外だった、治療費の工面ができないと困惑することのないよう、飼い主としてきちんと認識しておく必要があります。

保護犬・保護猫のペット保険加入について

ペット保険が誕生してから10年程が経ちました。年々保険加入件数も増加しています。
ペット保険のサービス内容は各社様々で、中でも「加入可能年齢」に関しては大きな課題ともされています。

ペット保険誕生当初は、加入可能年齢は「生後5歳程度」までが上限となっていました。しかし、この年齢はいわゆるシニア期に差し掛かる前であるため、この年齢を目安としていました。

シニア期に入ると病気になるリスクが高くなり、次第に医療費もかかるようになってきます。医療費に対しての備えが保険であるため、病気発症前の加入が条件とされていることがほとんどです。

しかし、日本でペット保険が誕生した時期とほぼ同時期に「大量の殺処分」「飼育放棄」「多頭飼育の崩壊」「乱繁殖」が社会問題化されました。それまでは一部のペット業界関係者のみが把握していた情報がクローズアップされ、世界的な批判を集めることとなったのです。

このことが起因して、ペットの殺処分を回避するため、ボランティア活動や里親制度が確立されていきました。

年齢制限の上限を事前にチェック

ペット保険は、加入条件の中に年齢制限がありますが、シニアの年齢でも加入できる保険商品もあります。
この場合、年齢以外にも既往症がない、医師の診断が必要等、別の条件が付くこともありますが、シニアでも加入できるペット保険があれば、里親として引き取ったペットも年齢を気にすることなく加入ができるでしょう。

万一ペットが病気やケガを負ってしまった場合の医療費を、保険でカバーしようと検討している場合には、予め保険加入条件を調べておくことで、該当する犬や猫を里親として引き取ることもできると思います。
特に、多頭飼育となる場合には、治療費が必要となるタイミングが重複してしまう可能性もあるため、突然の出費が大きな負担になりかねません。

里親としてペットを引き取る際には、飼育環境や世話の分担等と併せて、医療費の工面についてもしっかりと考えておきましょう。

年齢不詳でも諦めないで

里親募集をしている犬や猫の中には、保護されたために正確な生年月日が分からないということもあります。このような場合、加入条件となる年齢がネックとなり、ペット保険への加入自体を諦めてしまいがちです。

しかし、保険会社によっては、動物病院で医師の判断により大まかな年齢が設定され、健康状態に問題がなければ加入ができる保険があります。

犬や猫の年齢は、「歯や被毛」によってある程度の予測が可能です。歯が白く、乳歯が残っていれば生後1年未満の可能性が高く、歯の着色や歯垢の付着状況、口臭、歯周病の程度によっても年齢の予測ができます。また、被毛の艶や感触でもある程度の予測ができるのです。

里親としてペットを引き取る際には、まず動物病院を受診し、加入ができる保険について相談してみるとよいでしょう。

名義変更が可能な保険もあります

ペット保険の中には、「飼い主変更」が可能なものもあります。加入時に契約をした飼い主からペットが譲渡された場合、所定の手続きを取ることで新しい飼い主へ保険を継続して引き継ぐことができるのです。

元々ペット保険へ加入していたペットを引き取る場合、この方法であればシニア期に入ってからでも名義変更をすることで、ペット保険を引き継げますね。

手順は下記方法で進めます。

  1. 里親として引き取るときに保険加入の有無を確認
  2. 加入している保険会社に手続きを確認する
  3. ペットの引き取りと同時に保険の切り替え手続きを行う

※ペット保険を引き継ぐことは、全ての保険会社で可能なサービスではありません。保険会社によっては、引き継ぐことができなかったり、引き継ぐ際に動物病院の診断が必要なこともあります。

おわりに

先進国の中でも、日本ほど動物の生体販売が盛んな国はないと言われています。しかし、中には日本よりも劣悪な環境下で生体販売が行われている国もあります。
一概にペットショップを「悪」と決めつけるのではなく、どのような環境整備を行わなければならないのかを考えていくことも必要だと思います。

そんな中、新たな取り組みを行っている企業が増えてきています。ペットショップの一部を利用して、保護犬や保護猫を譲渡する場を設けるショップ、生体販売自体を一切なくしたショップ等、新しいビジネスモデルを展開しています。
これは「ペットの命」について一部のペットショップが真剣に考え始めた結果だと思います。そして、こういった取り組みが周知されることによって、次なる新しいビジネスモデルが生まれてのではないかと期待できます。

しかし、いくら動物の入手経路の環境が整っても、最終的には飼い主の意識が変わらないことには、保護犬や保護猫が減ることはありません。その意識とは、「終生飼育という言葉の意味をしっかりと自覚し、責任と覚悟を持ったうえで、動物を迎える」という当たり前のことです。

今後は、飼い主に対する教育も視野に入れた取り組みが、いかに成されるかという点が、最終的に「殺処分ゼロ」の目標達成に関わってくるのではないでしょうか。

また、保護犬や保護猫を里親として迎え入れる場合には、再び動物たちへつらい思いをさせないためにも、引き取る前に飼育環境や医療費、ペット保険に関してをしっかりと考えておくようにしましょう。

今一度ペットの終生飼育について考える機会を作ってみてください。

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